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魔法の国

もしも、もしも魔法が使える世界にいたら。
あなたはどんな魔法を使いたいと思うのでしょうか。


このお話は普通に魔法が使える世界のちょっと不思議なお話。


ここ、魔法王国では王様が、来る人来る人に珍しい魔法を見せて欲しいとお願いしていました。

「私は炎の魔法でご飯が作れます。」

『普通過ぎる。』

「私は水の魔法で雨が降らせられます。」

『雨はキライじゃ。』

「私は土の魔法で砂のお城を作れます。」

『砂場でしか使えぬ。』

「私は風の魔法でそよ風がおくれます。」

『冷風か温風はだせぬのか。』


けれども来る人来る人、ありふれた魔法ばかり。それもそのはず、普段から魔法を生活に使っているので当たり前と言えば当たり前なのですが。

「私は水と火の魔法でお風呂が沸かせます。」

『風呂なら毎日入っておる。』

「私は土と風の魔法で砂嵐がを吹かせまられます。」

『何の役に立つというのか。』

変わらず来るのはありふれた魔法を使う人ばかり。そこで王様はあることを思い付きます。

『そうじゃ、褒賞(ほうしょう)を出そう。そして、集まって来た者達を大臣に確認させれば、、、。そうと決まれば話は早い。』

王様は大臣達を集めると、さきほど思い付いた事を話しました。 

目を輝かせて話す王様をみて大臣達は

「やるしかないか。」
「ですね。」
「また大変だぞ。」 
「はい。でも、、、」
「やるしかない。」

と王国始まって以来(?)の大魔法大会が行われる事となりました。

初めての大魔法大会は大盛況。たくさんの魔法使いが王国にやって来ては、自分の魔法がいかに素晴らしいかをアピールしていきます。しかし、王様が喜ぶような面白い、珍しい魔法でなければなりません。この大魔法大会において、魔法の強さは関係ないのです。

そして王様にお披露目する当日がやってきました。
参加者が王様の前で魔法を披露していきます。

『ささ、早く。早く見せておくれ。』

「それでは、お願いします。」

「私は、この手のひらに乗るパンを、王宮いち大きな皿に乗るような大きさにして見せましょう。」

『おぉ~、それは愉快。』

「それでは、私は用意した楽器を魔法で演奏いたしましょう。」

『良いぞ良いぞ。』

「それでは、私は食器達に歌わせましょう。」

『うむ、実に愉快。』

『皆、よくやってくれた。褒美を授けよう。』

そうして王国では3日3晩のお祭りが終わり、やがて夜がやってきました。

『楽しい催しであったな。皆、よくやってくれた。今夜はゆっくり休んでくれたまえよ。』


王様は王宮に、国民にそう言うとベッドに横になりました。大臣も、兵隊さんも、王国に住む人々も、今夜はゆっくり眠れそうです。




間もなく暗く、深い夜が来ます。


魔法王国と一緒に、眠りにつくといたしましょうか。




それでは、


ゆっくり、ゆっくり



おやすみなさい。





おしまい

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