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想定5分 BL声劇『俺だってバレンタインしたい!』 作 沖ママ

組長『攻め』、手下『受け』

組長
「おい!誰か!誰かいねぇか!?」

手下
「組長!どうされたんです!?」

組長
「どうやら世間はバレンタインってのが近いらしいじゃねぇか。」

手下
「は?今、何て?」

組長
「お前は誰に向かって口聞いてんだ!?あぁ!?」

手下
「すんません!組長!」

組長
「で、どうなんだ?」

手下
「バレンタインですか?」

組長
「あぁ、何でも日頃世話になってる人に感謝を伝える日だって事だろ?。」

手下
「あ、あの……その情報どこから……?」

組長
「いいか、誰にも言うなよ?」

手下
「言いませんよ。大丈夫です!任せてください!」

組長
「ダーツバーのバーテンダーだ。」

手下
「ま、まさか!?また行ってたんですか!?」

組長
「おうよ!組の長(おさ)たるもの、世間のことも知っておかねばと思ってな。」

手下
「で、そのダーツバーのバーテンダーに聞いたと。」

組長
「ん?何(なん)かおかしいか?」

手下
「あのバーテンダー、また余計なことを……!」

組長
「バーテンダー曰(いわ)く!手作りのチョコレート菓子を作って渡す。そして日頃言えねぇ愛の言葉を伝えるのだと、目を輝かせて言ってやがった!」

手下
「……そうですか。」

組長
「だからこそ俺は決めた!そんな素晴らしい日を無駄に過ごすことはないと!どうだ!すげぇだろ!?」

手下
「組長!手作りとは、どういうことでしょうか!?」

組長
「お前、手作りも知らねぇのか!?手作りってのはな、この俺自身が俺の手で作る。それを手作りって言うんだろうが!」

手下
「それは知ってます!組長がチョコレートを手作りするんですか!?どうやって!?」

組長
「ふふん、俺に抜かりはない。見ろ。ここにそのバーテンダーから入手した作り方の説明書きがある。これを見て作れば間違いようがない!あはははは!」

手下
「確かに!でもこのレシピ、組長の字だよな。下手くそだけど。でも細かいとこまでちゃんと書いてある!」

組長
「そこでだ、お前、必要なものを買って来い!俺には分からん!」

手下
「は、はぃぃぃ!材料メモして行ってきます!」

《間を開ける》

組長
「よぉし、材料は買いに行かせた。今のうちに作り方を見直しておくか。」

手下
「何かもう無茶苦茶なんだけど!?なにがいるんだよ~?牛乳、バニラオイル、グラニュー糖、卵、薄力粉、強力粉、無塩バター、ラム酒。へぇ~、ラム酒とか入ってんのか。バニラオイルとグラニュー糖ってなんだ?分かんねぇ~!」

組長《できるだけ早く》
「作り方はと……。無塩バターは耐熱容器に入れ、ラップをして600w(だぶる)の電子レンジで50秒加熱して溶かします。ん?ラップ?電子レンジ?」

手下《電話に出る》
「はい!もしもし、何でしょうか?……え?ラップと電子レンジ買って来い?マジすか!?」

組長
「おう!冷蔵庫とオーブンはある!ラップと電子レンジがねぇ!ゴタゴタ言ってねぇで早く行け!」

手下
「材料は買ったから、あとはラップと電子レンジか~。荷物どんなけあんだよこれ。」

組長
「型だ!型がねぇ!……俺だ。オレオレ?お前、帰って来たら覚えとけよ。型、買って来い!型!カヌレの型だ!」

手下
「……はい。俺?最近流行りのオレオレのアレっすか?え?組長!ちょっと冗談言っただけですって!え?カタ?かた?あー!カヌレの型ですね!わっかりましたー!」

組長
「あんにゃろう、ラム酒の代わりに赤マムシドリンク入れてやろうか!?確かあったよな……。おぉ!あった!これだ!よしよし。」

手下
「組長!買ってきました!」

組長
「良くやった!材料は貰っていく。電子レンジ設置しといてくれ!」

手下
「分かりました!」

組長
「おっしゃ!やったるでぇー!おりぁぁぁ!」

手下
「く、組長!す、凄い!料理した事ない、お菓子作り初心者の動き、手際の良さ!最高です!」

組長
「あとはオーブンで180度、50分!っしゃこらぁ!」

手下《拍手しながら》
「くみちょおぉぉぉぉ!感動で拍手が止まりません!」

組長《ラム酒開ける》
「やめてくれぃ、照れるじゃねぇか。ま、お前も飲め。な?んんー!っと!ほら。」

手下
「く、組長!ありがとうございます!」

組長
「よし!出来た!さぁ、食え!」

手下
「え!?俺が、ですか!?」

組長
「お前の為に作ったんだ。いつもありがとうな。」

手下《カヌレ食いながら》
「くみちょおぉぉぉ!モグモグ、全部食いますから!んぐ!?ゴクゴク……あぁー!危なかった!」

組長
「どうだ?美味いか?」

手下
「カヌレなんて食ったことないから分かんねぇっすけど、美味いっす!」

組長
「そうかそうか、そりゃあ良かった。どれ、俺もひとつ。……ん?んん?……これ、美味いな。」

手下
「それに体がアッツイ!めちゃくちゃアッツイ!はぁはぁ……組長!俺、俺我慢の限界です!」

組長
「うわっ!?お前、俺を……クソ……なんだこれ……喉が渇いて……暑い……。あああぁぁぁ!」

手下
「組長!俺、もうダメっす!」

組長
「こうなったらもう何でもいい!受け止めてくれよ!」

手下
「くみちょー!大好きっす!愛してます!」

組長
「お前は俺だけのもんだ!」

終わり

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