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太陽と月

 

これは太陽と月のお話。
体も大きくてまぶしい太陽と
体は小さくて静かな月のお話。

太陽が朝、目を覚まして地平線の向こうから顔を出してきました。

「今日もいい天気だねぇ。」

そんな声が人々から聞こえてきそうな程の天気の良さです。

太陽が顔を出し始める頃に眠りにつく月は太陽に話しかけます。

『太陽さん、太陽さん。今日も熱く輝いているね。』

すると太陽は月に向かってこう言いました。

『お月様。実はね、ボクもなんでこんなに熱く輝いているのか分からないんだ。』

月はそんな太陽を見て

『いいなぁ~。私なんて自分で輝く事すら出来ないというのに。』

と太陽に良いながら眠りにつきました。

『お月様はあんなにキレイなのになぁ。』

太陽が言う独り言は月には届きませんでした。

太陽が空に登りきる頃には地上も暑くなり、太陽も更に輝いていきます。

「あっついなぁ。」
「早く夜にならないかな。」

そんな声が太陽にも聞こえてきますが、太陽にはどうすることもできません。
やがて夕方になり、太陽が地平線の向こうへ沈み始めると月が顔を出し始めます。

『お月様、お月様。ちょっと暑くなり過ぎてしまったよ。涼しくしてくれないかい?』

『太陽さん、私にはどうする事も出来ないよ。私はただそこにあって見守るのみ。』

『みんなお月様の出てくるのを待っているよ。』

『待ってなんかいないさ。私が出てこれば眠りにつくだけだよ。』

太陽は地平線の向こうに沈むと眠りにつきます。

『お月様、おやすみなさい。』

『ああ、後は私が見守っているから、安心して眠るといい。』

月の独り言は太陽には届きませんでした。

月が空に登り、夜を見守っていると、

「明日が楽しみだな。」
「早く朝にならないかな。」

そんな声が月にも聞こえてきますが、月にはどうする事も出来ません。
やがて空が明るくなり始め、太陽が地平線の向こうから顔を出し始めます。

『太陽さん、太陽さん。夜明けを楽しみにしている人がいるよ。その輝きで良い目覚めを届けてはくれないかい?』

『お月様、ボクにはどうする事も出来ないよ。ボクはただ輝くのみだよ。』

『みんな太陽さんが来るのを待っているよ。』

『待ってなんかいないさ。ボクが出てこれば起きなきゃいけない。』

『私たちにはどうする事も出来ないのさ。』


月はそう言うと眠りについてしまいました。
太陽と月は交互に起きては眠りを繰り返します。これからもずっと。ずぅ~っと。


ただ、月が出ている夜はお月様が、
きっと空の上から見守ってくれていますよ。



だから、どうか。


ゆっくり、ゆっくり


おやすみなさい。





おしまい

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