見出し画像

野遊びと動物の展示

このブログは、2021年10月に沖縄こどもの国ゆんたくコミュニティにて掲載されたものを再掲しています。

読者のみなさんは野外で生き物探しをすることがありますか?
私は普段仕事中でもプライベートでも歩いている時、車の運転をしている時(危ないと言われることもありますが...笑)も何か生き物がいるとついつい目が行ってしまいます。
もちろん生き物を観察しに野外に出かけていく事もしばしばです。
今回は私が何を考えながら生き物を観察しているのかをササっとしたためてみようと思います。

私は出身が沖縄ではないのですが、帰省の際も時間が空けばついつい生き物を探しに出かけてしまいます。
沖縄に住んでいると見られないタヌキやアナグマ、ノウサギなどを探して山道をゆっくりと車で流します。
地元がどちらかというと自然が豊かな方なのでちょっと車を走らせればタヌキやアナグマを観察できます。
道路を歩いていたり、ちょっと放置された空き地で何か食べるものを探していたり、悲しいことに時には車に轢かれてしまっていたり等々。
あー、こんなところに出てくるよねぇっていうのを持ち帰って展示に活かしてみたりするのです。

ということで現在担当しているモンキーハウスにはメスのホンドタヌキが一頭暮らしています。
沖縄こどもの国のモンキーハウスの元々の作りは形態展示を目的とした作りの獣舎です。
暮らし方の違いで変わる体の特徴を見比べてもらうような天井高めの長屋作りで、展示場の作りはいたってシンプルです。

そこにロープや枝を張って立体的な動きを誘導したり...とサルの話はまたの機会にしておきましょう。
ここでタヌキが健康的に楽しく暮らせて、かつ、あー、タヌキってこんなとこにいるよね!!を目標に展示場を作っていきたいと思います。
コンクリート床面でも爪の伸びすぎ防止や、清掃のしやすさなど良いことはあるのですが、今回は床面に土、ウッドチップ、腐葉土を敷き詰めていきます。
そこに日射しや雨を避けるためにU字溝をひっくり返して設置します。
さらに適度な大きさの切り株、伐採した太目の枝を配置します。
そしてタヌキが歩くのに邪魔にならない程度に植物(出来るだけ本土にも生息しているもの)を植えこんでいきます。
最後に落ち葉を敷き詰めて完成!

コンセプトは建物の脇にある放置されたちょっとした資材置き場です。
ひっくり返っているU字溝は作業してた人たちの椅子代わりだったに違いありません(笑)。
実際にこういう所をタヌキは利用していたりするのです。
モンキーハウスの展示場の広さならタヌキ一頭分の排泄物くらいであれば、床材を足して攪拌すれば落ち葉や腐葉土中にいる微生物たちが分解してくれます。
与えるエサも細かいものを撒けば落ち葉の隙間に勝手に隠れてくれるので、探す時間が増えてタヌキも暇な時間が減ります。
さらに時間が経つとこっそりミミズが住み着いてくれます。
この展示場で落ち葉の隙間に落ちたエサやミミズを探すタヌキの姿を見て、野生のタヌキを感じてもらえれば嬉しいです。
まぁ、掘る過程で植栽をひっくり返したり、折って遊んだりもしてくれるので手直し手直しの日々が私を待っているのですが(笑)