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【感想】ミラクルシティコザを見て

今日はオタク系の話は一度お休みして、本日全国公開の沖縄発映画『ミラクルシティコザ』についての個人的感想を少々書きます。
※皆さんの名前に「さん」付けなどは省いて説明してますがご了承ください


こちらの作品はもともと、
2019年、第3回未完成映画予告編大賞グランプリ&堤幸彦賞を受賞したことで、制作が決定した作品です。

その初期の予告CMがこちら


そこから時を経て、2022年。コロナ禍を乗り越えて、監督の平さん達を中心としたスタッフさん達が一つとなり作り上げたのが本作品。
そして生まれ変わった予告CMがこちら

主役に桐谷健太さんをお迎えし、2時間の完成された映画として生まれ変わりました。


あらすじとしては、

伝説的ロックンローラーの祖父に体を乗っ取られた男が、祖父が活躍した1970年の混沌渦巻く沖縄にタイムスリップして、未来へのサプライズを仕かけようとする姿を描く。

という話。


で、以下感想です。こちらはネタバレを多少含みます。ストーリーの中で鍵となる部分も触れますが、そのストーリーとなる歴史背景を書くゆえご了承ください。

感想としては
前評判通り面白かった!
とてもコミカルな序盤で入りつつ後半は感動と真実を突きつけるパンチある作品で、おぉ。。。と唸るシーンが要所要所に含まれていた。
3点に絞って簡易的に書いていこうと思う。


1.出演者

出演されてるみなさんの熱演が光る中で、特に光るのはやはりW主演の桐谷健太さんと津波竜斗さんお二人の演技だった。

まず作品を見てない方に知っててもらいたい情報は、主人公は津波さん演じる「翔太」だ。
そして鍵を握る翔太のおじいちゃんが「ハル」。1970年当時伝説だったロックンローラーであり、桐谷さんの役だ。

現代の翔太を演じるのが津波さんであり、過去の伝説的ロックンローラーのハルに憑依した主人公を演じるのが桐谷さん。
つまり、見た目違えど中身は同一人物の翔太である。

この翔太という中身(心)を、2人の人間が演じるのだが、序盤津波さん演じる翔太で翔太のイメージがつき、そこから桐谷さん演じる翔太が本当に翔太なのかを観客視点では見るのだが、そこのリンク率というかシンクロ率はとても高く、初めの桐谷さんの演技でおぉ・・・と唸ってしまう。
セリフを飛び越えた演技でのシンクロ率が終始素晴らしかった。
たまに、見せるハルに一瞬切り替わった時の変わり映えもスゴかった。これがプロかと見せつけられる目だった。

もちろん津波さんあってこその演技であり、津波さんも1人の生身で二役を演じるという高等な芸に凄いなと感心した。
他の皆さんの演技も光っていたが、私は以前イベントで共演した大城優紀さんが作品のヒロインとして活躍していることに別の意味で感動しました。

現代のおじいちゃん役を務めるハルの小池さん。どこかで見たことあると思ったら、私のお店で何回かドラムを叩いてくれている小池さんだったことにも驚いた。
とてもドラムが上手く、腰の低い方で優しい印象の方ですが、まさか俳優だったとは。。。っていうのも個人で驚いたところでした。


2.1970年のコザを表現

1970年のリアルコザを私は知らない。もちろん平監督も知らない(年齢的に)
その中で、めちゃくちゃ色々な情報を探して、イメージし、再現しようと思ったのが伝わる映像だったと思う。

現在のコザにはもちろんコザという雰囲気があると思っているが、実は廃れた感じの看板や、ここやっているの?っていうお店が作品の舞台となるコザゲートまわりにはある。

そのイメージを打ち壊す、煌びやかな夜のネオン街を表現するシーンがある。CGやエフェクトなど上手く使って表現したのだと思うが、そのシーンで一気に1970年に入れたような気がした。
ライブハウス店内は沖縄市にあるセブンスヘブンさんやクイーンさんで、僕が見ると「あそこのあの角度だなぁ」となるのだが、それでも現代を感じる装飾はなくしてたと思うし、映像に出てくるもの(服装等)はこだわっていたことでそこまで気にならなかった。

でもこの作品の1970年を表現する上で1番の鍵になるのが、その当時のライブハウスにあった空気感と歴史の背景の表現だったと思う。

当時、ベトナム戦争を目の前にし、明日死ぬかもしれない米兵達が最後の夜を楽しんでいるという空気感の表現。それを見たことない私たちに説得力ある映像で届けるという壁を乗り越えたんじゃないかと僕は思う。

ここからが重要なネタバラシに入るので気をつけてほしいのだが↓

1970年といえばコザ暴動・コザ騒動である。
これは僕も名前や簡単な話は聞いているが、若い人たちは知らない方も多いのではないか。
沖縄の本土復帰が1972年なので、沖縄本土復帰前だ。当時の沖縄は米軍関係の問題が今より多かったと聞く。

少女への暴行事件や、ひき逃げ事件など数多の問題がある中で、それを日本の法律で裁くことができないがために、無罪となってしまう問題。基地内の毒ガス問題など。

映画を見て少し歴史が気になり調べてみた。

本作品で表現されるコザ暴動のシーン。調べると当時の米兵の車を燃やして横転させた写真がゾロゾロ出てくる。
実は当時、この暴動が起きる前日は、毒ガス抗議で沖縄市の方で集会があったらしい。
その集会の人たちが夜中コザに飲みに流れる。その日付が変わった深夜、コザ十字路近くでひき逃げ時間が起きた。

ヘリやアメリカ陸軍憲兵(MP)がそこにいる中で、集会参加者や多くの地元住人が現場を囲った。

その時威嚇かわからないが、米兵が空砲を空に撃ったことが暴動の引き金となり、沖縄人の溜まった鬱憤が爆発。止められなくなったという。
なんでも、その道を通る白人米兵の車を止めては引きずり出し、火を放ったという(黒人さんや沖縄女性を妻に持つ人は免れたらしい)

コザ暴動というのは文書や口では語れないほどのウチナーンチュの溜まっていた悔しさが爆発した物事であり、一日の事故で起きた問題ではなかったということを勉強した。

そしてその時の事件を作品の核として、予告では出してなかったテーマでだsれたことで僕は唸った。


3.音楽表現

この作品の大事な要素である音楽だが、カッコよかった。

沖縄の音楽シーンで外すことができない「紫」や「コンディショングリーン」の楽曲などが随所に流れる。この楽曲の演奏が実にノスタルジーを与えてくれた。
その時代に酔いしれながら見れる。

映画のエンドロールが流れる前のラストシーン。ここの演奏シーンが最後の鳥肌シーンだ。
彼らは現役で実在するというこのカッコ良さが最後のワンパンチでノックダウンする。

主題歌はオレンジレンジ。こちらもコザ出身バンド。ここまで音楽もこだわっていた。凄い。


総評

僕はあまり実写映画を見ない。アニメが好きだし、そもそも映画が苦手なのだ(じっと2時間座ってられない)
でもこの映画の2時間はあっという間だった。それだけ作品が面白かったし、沖縄出身なら映像一つ一つの情報に目が行ってしまう。
この作品を作り上げた監督、キャストの皆さん、脇を固めるスタッフさんは本当に頑張ったなぁと思った。

個人的にこの演出はなぜこうしたの!?と聞きたいところもある。それは実は少しだけ面識がある平監督にお会いできた時に、個人的に聞いてみようと思う。

久しぶりの実写映画がミラクルシティコザでよかったと思うまでに作品を見たことに満足感を感じている。そして映画を見たいというモチベーションも上がったし、コザの音楽に触れたい、沖縄の歴史を勉強しなきゃとなった。

私にとって刺激的な作品だった。ありがとうミラクルシティコザ。
関係者の皆さん、大きなお仕事お疲れ様でした。


興味ある方は是非ご覧ください。


最後に

ブログで書くうえで、出演者やアーティストさん、関係者の名前をさん付けしないなどの表記にお許しください。文書を見る人の見やすさを考えた上での配慮で、普段なら気軽に名前をここで表記するのもおこがましいと思う方々です。ご容赦ください。

そして、せっかくなので昔の思い出の一枚。

僕が主催したアニソンイベントで、一緒に司会してくれた大城優紀さんとの一枚。
本当にあの日はありがとうございました。改めてブログにて。


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