インボイス開始 不安続く
取引先に登録促される
下請けに負担心苦しい
「取引先から登録するように求められている」「別会社と取引すると言われるかもしれない」。10月から始まったインボイス制度。免税事業者の不安は収まっていない。(社会部・城間陽介)
経過措置の周知必要
9月に那覇市内で開かれた学習会。小さな建設会社を営む50代男性は、登録の申請用紙に必要事項を書き込みながら「弱い者いじめだ」と訴えた。
免税事業者が新たに課税業者として登録すると、消費税負担が生じる。那覇商工会議所によると、この数カ月の間に寄せられた相談は100件近く。取引先から登録を促されたり、意向確認の通知文が届いたりするケースが報告されているという。
建設業界では、職人個人で会社と労務契約する「一人親方」が少なくない。「人手不足の中、彼らに税負担を求められない」と悩む経営者もいるという。
那覇市内で塗装業を営む60代男性は、取引先と相談し、登録するか判断すると言う。「仮に登録しても、下請けに負担を強いるのは心苦しい」と不満を口にした。
負担は消費税だけではない。様式に沿った請求書の作成、一定期間の保存など細かな経理事務が生じる。那覇民主商工会の大西洋平事務局長は「免税事業者は1人でやっているところも多い。経理事務に手が回らないというのも免税の理由の一つだった」と制度の不合理を訴える。
国は仕入税額控除の経過措置も合わせて実施する。2029年9月までは、免税事業者からの仕入れに要した消費税額を8~5割控除する仕組みだ。
しかし、県よろず支援拠点コーディネーターで税理士の友寄亜由子さんは「登録しない免税事業者に不当な価格設定を持ちかける事例も散見される」とし、経過措置の周知の必要性を強調する。
公正取引委員会は「経過措置を活用せずに、免税事業者に一方的な価格値引きや取引停止をすれば、独占禁止法(優越的地位の乱用)に抵触する可能性がある」と警鐘を鳴らした。
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