93歳からの逆転劇(一部修正・加筆あり)
元記事 4月17日 https://www.o-kinaki.org/2660/
このnoteではコロナ騒動に関連する情報を中心にと思っていましたが、この2年間で現代医療のおかしさに気づいた人も多かったのではないでしょうか?
その日常行われている現代医療のおかしさがらみで今回こちらのブログにも掲載します。
今回は久しぶりにコロナネタから離れて、当クリニックの本来の業務に関連する話を書きたいと思います。
93歳の女性で、「糖尿病、高血圧、腎機能障害、脂質異常症」などを指摘されていた患者さんのお話です。
この患者さん、通院されて糖尿病専門医のところへ受診されていたのですが、いよいよ歩けなくなり、当クリニックへの訪問診療以来となりました。
初診時はもうぐったりしている状態で、言葉は悪いですが「活きが悪い」状態。
ご家族も、このまま看取りになることも覚悟していたそうです。
この患者さん、ご高齢にもかかわらずインシュリン注射を行っていました。
さぞかし血糖コントロールが悪いのかと思いきや、糖尿病の指標であるHbA1cは6.8%(前医データ)。
ちょっと厳しくコントロールしすぎです。
実は高齢者の血糖コントロールは厳しくしすぎてはいけないことになっています。
それは低血糖のリスクがあるから。
ちなみに糖尿病学会が出している指針は以下の通りです。
自分は初診時に早速インシュリンを中止しました。
内服だけで十分やっていけるはずと読んだからです。
その後HbA1cは一時かなり上がってしまいましたが、内服だけで十分コントロールできています。
ちなみにHbA1cの経過は以下の通り。
この患者さん、最初からインシュリン注射なんて必要なかったのではないでしょうか?
実はこれまでに何人か前医で行われていたインシュリン注射をやめてきました。
その後も問題なく内服で十分コントロールできていました。
インシュリン注射なんて患者さんにとっても、ご家族にとっても負担ですよね…。
自己血糖測定もやりなさいと病院から指示もされますし。
当然ですが、内服で済むなら内服の方がいい。
なんでこんなにインシュリン注射ばかり導入するんだろうって思います。
ちなみに、インシュリンを導入し、患者さんに自宅で血糖自己測定を指示すると、病院はかなり儲かります。
結構良い保険点数を請求できます。
まさかこれが理由で…とは思いたくないですけどね。
で、この患者さんの見どころは「腎機能」についてです。
前医のデータをみても、基準値超えの腎機能低下状態でした。
インシュリンをやめ、降圧薬もやめ、薬を整理したあとの経過です。
まずは「クレアチニン」の経過です。
そして、腎臓の流れの指標である「eGFR」という数値です。
栄養状態の指標でもあるアルブミンも、3.1→3.6に上昇しています。
ちなみに免疫力の指標である「リンパ球」の数値はこんな感じです。
この方の当初のリンパ球数は低いときで1400台しかありませんでしたから、かなりの改善です。
この方はもともと長生き体質だったのですね。
いわゆる医原病で瀕死の状態にあったのを、余計な薬・治療を取り除いて本来の姿に戻っただけです。
こういうの、本当にやりがいがあります。
前医でたくさん薬が出ていれば出ているほどやりがいがある。
ちなみに、この患者さん、フェリチン(貯蔵鉄)の数値が基準値を大幅に超えかなり高い状態でした。
しかし鉄剤がずっと処方されていたのです。
過剰な鉄は体を酸化させます。老化を促進させます。ストレスにしかならない。
鉄剤も即行中止としました。
2種類飲んでいた利尿剤も中止してこの結果(腎機能改善)です。
降圧薬も中止して、現在の血圧は140~150代。
この年齢では全然問題ありません。
そして一番のポイントはコレステロールの薬でしたね。
当初、総コレステロールが126しかありませんでした。
基準値の下限を下回るくらいだったのです。
これじゃ活気もなくなるし、老化も進む。新しい細胞ができないから臓器の機能もどんどん低下する。
コレステロールの薬も即行中止しました。
その後、一時期リバウンドで少し高めになりましたが、現在は体にとって適正な値に落ち着いたのか、総コレステロールは204。
実際の経過は以下の通りです。
当初飲んでいた内服薬は、12種類。+インシュリン注射。
現在は、ビタミン剤を除けば、6種類。
血糖が良くなり過ぎちゃったので、今後は5種類でおさまる予定です。
データをみれば劇的な回復です。
まさに生まれ変わったかのよう。
というか、この方本来の姿に戻ったのですね。
現在では診察時もとてもにこやかに対応してくれます。
顔色もいいし。
リハビリもがんばっており、少し介助は必要ですがトイレまで歩けるようになりました。
そして家族とケンカできるまでになりました。
口喧嘩ができたり愚痴を言えるのは元気な証です。
これが93歳の方に起きたこの1年2ヶ月の記録です。
当初は、
「糖尿病、高血圧、腎機能障害、脂質異常症」
という病名がついていましたが、薬を減らしたら
「糖尿病」だけ
になったのです。
現代医療っておかしいでしょ?特に薬中心の慢性期医療がおかしい。
「糖尿病3大合併症」(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害)
ってよく言われますけど、自分が思うにあれは正確には、
「糖尿病治療三大合併症」
です。
特に「インシュリン」が良くない。
インシュリンは「血糖を下げる」という意味では役にたつホルモンではありますが、他の作用としては臓器に障害を与えるホルモンでしかないのです。
ですからインシュリン治療は最終手段であり、本当にどうにもならなくなったときに最低限だけで行うべきなのです。
ちなみに外来に通院中の70代男性は、HbA1cはひどいときは9%台前後になったりします。
さすがにちょっと高すぎるなと思って一応食事など軽く忠告するのですが、
この方は食べるのが大好き。
食べ物の話をしているときが本当に幸せそうなのです。
腎機能も悪くないし、まぁ本人がいいならいいかという感じで経過を見ています。
たぶん糖尿病専門医に受診したら、インシュリン導入をされるでしょうね。
もしくはつらい教育入院です。
で、この方、血糖コントロールは決して褒められたものではないかも知れませんが、この8年間、腎機能はまったく悪くなっていません。
ぜんぜん健康な人と同じ数値。基準値内をキープしています。
なんなら最近の数値は、腎臓の流れは、直近3年間の記録の中では一番良いくらいなのです。
もちろん視力障害もないし、神経障害もありません。
めちゃくちゃ元気でパワフルです。
当初に紹介した93歳のケースでは、前医の先生は糖尿病治療では巷では結構有名で権威ある先生らしいですけど、こういうの経験すると
「専門医ってなんなんだろ」
って思ってしまいます。
きっとアカデミックで超マニアックな勉強とかされてきたのでしょうが、それが実臨床で役に立っているのか疑問です。
もちろんすべての専門医がそうとは言いませんが。
ただ今回のケースでは、前医は「HbA1c」という数値だけをみて治療してきたんだろうなと思います。
年齢とかADLとか背景とかそういうところはみずに、「HbA1c」だけです。
医原病というものがどうやって起こるのか、そしてその原因を取り除くとどう変化するのかがハッキリとわかった経験でした。
「医原病をなくし、患者さん本来の寿命をまっとうさせる」
そんな目標がありましたが、少しは患者さんにも貢献できたかなと思っています。今のところは。
しかし90歳を超えても、本来のあるべき姿を取り戻せるのです。
この方はもともと相当体力があった方なのでしょうが。
120歳まで生きるとしたらあと30年。
人生、まだまだですね。
自分はその頃、後期高齢者になっています…。
無駄に医療機関の食いものにされないように、自分でできるケアなど役にたちそうな情報を大公開していきます。