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No.889 正直者は、何を見たか?

31年も前の、思わず涙腺が崩壊しそうになるお話です。そんな私にお付き合いくださる「奇特な御仁」に巡り合えますことを祈りながら書いています。

その昔、在職中に書いた毎日学級通信の一コマです。3学期に入り、「ざっくばらん」のコーナーを設けました。クラスの生徒43名の一人ずつに、建前ではなく「ざっくばらん」に本音を綴らせてもらおうという企画です。3月に卒業する彼らに贈るメッセージにしたいという思いもありました。

しかし、私自身のことは棚に上げ、一方的に生徒評に及ぶのはフェアーではありません。そこで、第1回目はカミさんに私の事を本音で語ってくれるよう頼みました。その結果、私がいかに愚か者だったかということに気づかされました。というのも、彼女は、私が思った以上に正直者だったからです。

「芝尾仁のこと
 この話だけはせずに、お墓にもって行こうと思っていたのですが…。
 独身時代は痩せていて、体重も58kgで良いくらいだったのに、結婚したらブクブク肥り、無精ヒゲは剃らず、『釣った魚にエサは要らぬ』とばかり、年に2回の里帰りの約束も反故にしてしまった人さらいです。
 本人は冗談のつもりで話すけれど、相手からみるとイヤミで傷ついたり、初対面の人でも何十年来の知人みたいにして自分の基準でしゃべったり、ウケを狙ったりするので、聞いていてハラハラします。
 貧乏だから仕方ないけれど、貧乏ゆすりはやめてほしい。子供をお尻の所に近づけさせておいてオナラをかけるのもやめてほしい。
 う~、紙面が足りない!!」

彼女の「ざっくばらん!」を読み、初回から、このコーナーは失敗に終わりそうな悪い予感がしました。「藪をつついてヘビを出した」のは私でしたが、正直にも程があることを身をもって知った次第です。幸か不幸か、親御さんたちには「サイコー!」、生徒たちには「サイテー!」な企画となりましたが、彼らの卒業までに無事全員分を書き終えました。

保護者からは「よく見てくれ、よく言ってくれた。」と労って下さる方が多く、書き甲斐を感じました。これも、「ざっくばらん」に言い放ったカミさんに火をつけられたお陰かも知れません。

「夢でも良いから持ちたいものは金のなる木と良い女房」

都々逸

※画像は、クリエイター・ハタモトさんの、タイトル「雨を追いかける花」をかたじけなくしました。もう、そんな季節を迎えようとしているのですね。お礼申し上げます。