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No.973 「シルバー川柳」拾い読み(その2)

さっそく入賞作のうち、私の心を虜にした、いや、羽交い絞めにした、いや、打ち据えた川柳の数々を紹介いたします。本日は、2012年(第12回)~2022年(第22回)までの優秀作の中から私の胸にズッキューン!ときた作品ばかりです。お楽しみください。
 
第12回(2012年)応募数:9,353作品
「遺影用笑いすぎだと却下され」
(愛知県 50歳 女性)
 
第13回(2013年)応募数:13,872作品
「『先寝るぞ』『安らかにね』と返す妻」
(埼玉県 71歳 男性)
「お迎えは何時でも良いが今日は嫌」
(神奈川県 84歳 女性)
「欲しい物今じゃ優しさだけになり」
(大分県 74歳 女性)
「耳遠くオレオレ詐欺も困り果て」
(兵庫県 60歳 男性)
 
第14回(2014年)応募数:11,370作品
「老いるとはこういうことかと老いて知る」
(東京都 64歳 女性)
「恐妻を天使に変えた認知症」
(山梨県 62歳 男性)
 
第15回(2015年)応募数:11,899作品
「老いるとはふえる薬と減る記憶」
(愛知県 68歳 女性)
「徘徊もタスキかければパトロール」
(大分県 59歳 女性)
「思い出が身辺整理の邪魔をする」
(神奈川県 92歳 女性)
「壁ドンでズボンの履き換えやっとでき」
(福井県 69歳 男性)
「アルバムに遺影用との付箋あり」
(埼玉県 65歳 男性)
 
第16回(2016年)応募数:8,876作品
「ポックリと逝きたいくせに医者通い」
(栃木県 68歳 男性)
「ボケもよい昨日のケンカもう忘れ」
(岡山県 72歳 男性) 
 
第17回(2017年)応募数:15,576作品
「紙おむつ地位も名誉も吸いとられ」
(神奈川県 73歳 男性)
「手をつなぎ互いの杖となるあした」
(愛知県 63歳 女性)
「物忘れ知識を少し捨てただけ」
(千葉県 70歳 男性) 
 
第18回(2018年)応募数:7,872作品
「ベンツから乗り換えたのは車椅子」
(奈良県 65歳 女性)
「懐メロが新しすぎて歌えない」
(千葉県 65歳 男性)
 
第19回(2019年)応募数:8,793作品
「女房から生前退位せまられる」
(兵庫県 68歳 男性)
「婚活の殺し文句は『看取ります』」
(千葉県 66歳 女性)
「徘徊のルートAIにも読めず」
(宮崎県 67歳 男性)
 
第20回(2020年)応募数:10,663作品
「脳トレを毎日してます探し物」
(新潟県 80歳 女性)
「妻が言うひとまず預かる給付金」
(大阪府 70歳 男性)
「ゴミ出しの俺とカラスは顔馴染み」
(千葉県 73歳 男性)
 
第21回(2021年)応募数:16,621作品
「全集中しても開かない瓶の蓋」
(大分県 66歳 女性)
「『密です』と言われてみたい頭頂部」
(富山県 62歳 男性)
「どなたですそういうあなたはどなたです」
(大阪府 59歳 男性)
 
第22回(2022年)応募数:14,639作品
「兄弟で ひとり薄毛の 変異株」
(東京都 62歳 男性)
「どうしましょ 三個あります マヨネーズ 」
(高知県 68歳 女性)
「入れ歯どこ 冷蔵庫です 冷えてます」
(北海道 85歳 男性)
 
以上で昨年度までの「シルバー川柳」の優秀句のうち、特に心をざわつかせた作品を紹介させていただきました。いかがでしたか?日本人の心をつかむ川柳の魅力満載です!
 
第23回(2023年)「有老協・シルバー川柳」の応募は、5月31日(水)で締め切られていました。9月上旬に発表の予定だそうです。その発表を大変楽しみにしています。
 
さて、私の中では次席とされた句とはいえ、これまた優秀な作品群があります。明日からは、「シルバー川柳に『ほ』」と題して、新たに作品を味わいたいと思っています。何回続くか分かりませんが、御用とお急ぎでない方、いや、少々お急ぎの方々も、川柳の木の下で一休み(一服?)なさっていただければと思います。ご訪問をお待ちしています。


※画像は、クリエイター・Akiko Kimura (joker)さんの1葉です。その説明に「イングランドとウェールズの境界を流れる、ワイ川沿いの遊歩道を歩いて見つけた、ウィロウ(柳)のトンネル。」とありました。思わず、ヘーボタン!お礼を申し上げます。