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No.299 これぞ、褒伸(ほうしん)の術!

 数年前の11月20日(火)の朝日新聞「天声人語」に、故平山郁夫さんのお話が載っています。

 平山画伯は20代の終わりに体調悪化をおして「仏教伝来」を描き、日本美術院展に出品しました。数日後、高名だった河北倫明氏の院展評が新聞に載ったのですが、その記事の末尾に、「仏教伝来」について、
 「おもしろい味がある。」
というだけの評言をいただきました。しかし、平山さんは歓喜し、何度も読み返しては、励みにして絵を描き続けたと言います。
 「ボクシングでいえば、ダウン寸前に救われた。」
と、後に本人が語っています。

 日本の科学者グループが、キーボードを打つ速さを調べる実験をしたそうです。結果、
 「1回目を打ち終わった後に褒められた人達は、2回目の結果が20%も上昇した」
という興味のある報告をしています。

 両者に共通しているのは「評価する」「褒める」ことの意義でしょう。脳は「褒められる」ことを報酬と考える優れた能力があるそうです。お金がかからずに「伸び」が期待できるなんて一挙両得?一石二鳥?人間にとって、魔法の言葉なのではないでしょうか?

 天声人語のコラムニストは、
「かけ離れているようだが根は同じだろう。芸術も日常生活も、なべて人の営みである」と述べています。

 何年か前に提出された親子川柳の中に、
 「毎日が おこってなんぼ 母の愛」
という句がありました。仕事に家事に大忙しのお母さんの気持ちとしては、さもありなんと推測できるのですが、このお母さんの「子の褒め句」も是非読ませていただきたいと思う今日この頃です。母親忍者「褒伸の術」の極意のような句を。