見出し画像

No.1187 転ばぬ先の?

健忘症君の意気軒高におそれおののく私(別称:「ノータリネーゼ!」)は、四半世紀も前にストックしてあった新聞記事に、思いを新たにしている次第です。いわく、
 

 お父さんはなぜ、運動会で転ぶのか。きのうの朝のフジテレビがそんな「徹底検証」の結果を伝えていた。なるほど画面を見ると、子どもの運動会で保護者の部に出場したお父さんたちが、徒競走やリレーで、武運つたなく転ぶのである▼全力疾走しているつもりなのに脚がもつれ、もんどりうつ。ゴール間近でヘッドスライディングもどきにつんのめる。お父さんたちは30-40代。数人が転ぶのは当たり前で、いまや運動会の風物詩?なのだという▼登場したスポーツドクターによれば、①筋力の衰え②バランスの悪化③柔軟性の低下、が主たる理由。気持ちは若いころのままだが、体がついてこないのである。もう一つ、昔スポーツをしていた人ほど自信があるため、意識と現実の体力の差が激しく、結果として転びやすいらしい▼言われてみればそうか、という結論。が、思い当たる人は少なくないだろう。画面で無残に転んでいたのは八人。うち七人は車で、残る一人もバイクで通勤、仕事は大半が事務職と聞くと、話はますます身近になる。私たちに共通の病弊が、たまたま運動会で明確になっただけのことなのだ▼アメリカ映画で、都市に住む人たちがスポーツジムで汗をかく場面を見て、いささか驚いた記憶がある。高い金を払って運動するとは、と。むろん30年以上も前の昔話。日本でも運動不足はまん延し、そうした光景が当たり前になった▼ふと『ガリバー旅行記』の「空飛ぶ島」を思い出す。その国の人はただ考えてばかりいるので、重さで頭が右か左に傾いている。ただし思考の中身は無意味。汗を流す仕事を軽べつし、紙の上だけ考え、無関係なことに首を突っ込み、いつも不安で……。これは私たちの未来図の一つだろうか▼ところで、番組によれば転ばない対策は簡単。とにかく歩く、ことだそうだ。

2000年10月某日「天声人語」より

ふと、
「ちょっと待ったー!」
と凛とした声で叫び、右手をパーにして突き出したMC石原さとみ嬢の姿が思い浮かびました。
 
先月の「あしたが変わるトリセツショー」(2月15日放送)で、「ある動きを変えるだけ!筋トレ不要の簡単アンチエイジング術」が放送されました。散歩も良いけれど、「速歩」も取り入れながら筋肉に負荷をかけ、1週間に合計60分(1日わずか10分前後)貯金するつもりで歩く習慣をつけると、転びにくくなるという説を全国に開陳していました。

私は、大いに刺激を受け小1時間の散歩のうち1回1~2分ずつ数回に分けて「速歩」貯金をしています。この「速歩」の度合い(程度?)が曲者です。正直言って競歩に近いレベルの速歩を意識しながら歩かなければなりません。しかし、短時間でOKですので、それこそ淡々と、黙々と、粛々と、飄々と続けています。

70歳の爺さんに運動会のリレー選手の声がかかることは間違ってもありませんが、外の清々しい空気を吸い、四季の風景に目を奪われ、知人とあいさつを交わすと、心も体もリフレッシュされたような気分になります。

「瘤取り爺」ならぬ「小太り爺」の汚名返上を兼ねた、それこそ「転ばぬ先の散歩」なのであります。リレー選手のお父さん、ご一緒に?
 


※画像は、クリエイター・EKIDEN NEWSさんの「圧倒的な歩き。」の1葉をかたじけなくしました。競歩のスピード感がズンズン(ガンガン?)伝わってきます。お礼申し上げます。