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No.783 小さな邂逅いの大きな学び。

瞬きは、何のためにするのですか?
まばたきの役割は、一般的に言って、
①     異物の侵入を防ぐ
②     目の乾燥を防止する
ことにより目の機能を保つためでしょう。
 
しかし、こんな解釈をする例もあるのです。
『世紀末の詩(うた)』(全11話)は、1998年(平成10年)10月~12月まで日本テレビ系列で放送されたドラマです。学長選挙に1票差で敗れた大学教授の百瀬夏夫(山崎努)と、結婚式の場で婚約者に駆け落ちされた野亜 亘(竹野内豊)の二人は、それぞれビルの屋上から飛び降り自殺をしようとして出会うわけですが、そんな二人を子猫のような表情で笑う少女ミア(坂井真紀)との出会いもあって、奇妙で面白おかしい3人の共同生活が始まりました。
 
その第1話で、小学校の羽柴里見(木村佳乃)先生が、クラスの子どもの悪さに憤慨した時、百瀬教授が、非常に印象的なセリフを吐きました。
「(羽柴)先生、人間はなぜまばたきするか、知ってますか?(百瀬がおもむろに壁ドンし、羽柴に顔を近づけて)時には、人の過ちに(百瀬が軽くウインクした後)目をつぶってやるためです。」

な・な・なんですとぉ?壁ドンもウインクも、カッコつけすぎでしょ!いや、カッコ良すぎでしょ!やる人がやれば、絵になり、形になり、印象深いドラマとなってしまうのです。私には、生涯にわたって無さそうな、そして、絶対に無さそうなシチュエーションとセリフに心を「ズッキューン!」とやられました。

「人は、なぜ瞬きをするのか?時には、人の過ちに目をつぶってやるためです!」
脚本家でシナリオライターの野島伸司さんは、この時35歳でこのセリフを百瀬に語らせた訳ですが、彼の哲学というか、その老成した考え方に惚れ惚れします。

ものによっては、目をつぶらない方が本人のためにも社会のためにもなる事だってあるでしょう。それは、その通りです。目をつぶってはいけません。それでも、ケースバイケース、状況によっては目をつぶることも大切なのだと思い知らされる百瀬の話でした。私も、これまで、いろんな方から目をつぶっていただいて生きてきたのだと思います。そのことは、忘れないでいたいと思います。

いつだったか、どこだったか、どの本だったか、どの番組だったか、
「大きいことは小さいことに、小さいことは無かったことに。」
というセリフに邂逅って、私という人間の小ささを思い知ったことがありました。針小棒大の正反対の謂いです。その精神を多としたいものです。


※画像は、クリエイター・みどりの のあさんの、タイトル「愛犬」をかたじけなくしました。大分弁で言うなら「えらしい」(かわいい!)表情です。お礼申します。