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No.1086 忘れる会、忘れられない会。

「忘年会らしく明るき奥座敷」
2005年(平成17年)12月、大阪道頓堀界隈を句吟した辻多津子さんの作品だそうです。
 
今日のお話は、もう6年も前の2017年のことです。11月9日は、敬愛する故スワ子お婆ちゃんのお誕生日でした。「その日に忘年会しましょ!」と声をかけて下さったM子先生と、「スワ子さんのお誕生日に津久見で忘年会を!」と言って下さったY子さんのお誘いを受け、「キッチンY子」邸のお座敷で、「慌てん坊のサンタ」さんも驚く、一足どころか二足以上も早い年忘れ会に参加させて頂きました。
 
この日の為にと、お料理上手なお二人の手の込んだお品が、座卓に所せましと並びます。会主は、新鮮なネタで勝負の「すし屋」に握りを注文し、椀飯振る舞いもしてくれました。
 
半年以上ぶりの本物の握り寿司に鼻の奥がツーンとしたのは、山葵のせいだけではありません。そのネタの大きさもシャリの美味さもすし屋の主人の心意気を感じさせるもので、わが胃袋は、飛び上がって喜びました。
 
その年の4月から、古巣の学校で非常勤講師として働き始めていました。「年の差なんて何ほどのことはあるまい。」と高をくくっていましたが、45歳以上の年齢差です。なかなか高い価値観の壁があるように思います。そんな中、二人の粋なサンタさんたちの心遣いが、染みました。忘れられない忘年会の思い出でした。
 
「せつかれて年忘れする機嫌かな」
 松尾芭蕉(1644年~1694年)
  
「年忘れ最も老を忘れけり」 
 富安風生(1885年~1979年)