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No.1145 みずみずしいこころ

「中学3年 国語」の教科書に、新川和江さんの詩「わたしを束ねないで」が載っていました。次は、その第1連です。

「わたしを束ねないで
 あらせいとうの花のように
 白い葱のように
 束ねないでください わたしは稲穂
 秋 大地が胸を焦がす
 見渡すかぎりの金色の稲穂」

5年近くも前の授業中、詩の鑑賞ののち、新川さんにならい、生徒たちに「わたしを束ねないで」の詩を創ってもらいました。次の数編は、その中からの採録です。ぜひ、ご一読ください。なんか、グッと来ちゃうんです!
 
作品1.
 わたしを比べないで
 良い食材を選ぶことのように
 つくしの背比べのように
 比べないでください
 わたしはわたし
 
作品2.
 わたしを過保護にしないで
 赤子のように
 幼児のように
 わたしを過保護にしないでください
 わたしは水
 どんな形にもどんな色にもなる 一本の水の糸
 
作品3.
 わたしを閉ざさないで
 おりの中の動物のように
 囚人のように
 閉ざさないでください
 私は鳥
 好きなとき 大空をかけめぐる
 
作品4.
 わたしをしつけないで
 犬のように
 動物園の象のように
 しつけないでください
 わたしは水
 自由に形を変え ゆっくり流れていく
 
作品5.
 わたしを縛らないで
 新聞紙のように
 古本のように
 縛らないでください
 わたしは水
 どんな形にだってなれる水
 
作品6.
 わたしを決めつけないで
 裁判のように
 学校の校則のように
 決めつけないでください
 わたしはわたし
 縄にしばられることなく 自分のしたいことをする
 
作品7.
 わたしを枯らさないで
 水やりを忘れられた花のように
 潤いをなくした瞳のように
 枯らさないでください
 わたしは薔薇
 永遠に輝き続ける 一輪のバラ
 
奇しくも3人が「わたしは水」のフレーズで詩の世界を創りました。無味無色透明で、自由に形を変え、おさまり、流れて行きます。また、命を維持し、成長に役立ち、時には火も消せる、そんな水の性質への魅力や、好奇と憧れが、鉛筆を走らせるのでしょうか。
 
力作を前に、とても得をした気分になった1時間です。若者の感性って素晴らしい!
 
「浪花節」のような人生の私には、「風の向くまま気の向くまま」が思われ、「わたしは風」としたいところです。みなさんは、何でしょうか?


※画像は、クリエイター・はる | 写真を撮る人☺︎webデザインを勉強中🖋さんの、タイトル「癒し旅2」の「川の流れとマイナスイオン」の1葉をかたじけなくしました。お礼を申し上げます。