No.492 島国思考か、大陸思考か?

こんなクイズ、いかがでしょう。
「タバコの吸い殻7本で、新たにタバコが1本作れるとします。今、49本の吸い殻があるとき、新たなタバコは何本できるでしょうか?」

 答えは、8本です。49本の吸い殻から新たに7本のタバコができますが、その7本を吸ったら、もう1本分のタバコができるからです。えっ、バレバレでしたか?

 実は、日本よりも欧米の子どもたちの正答率の方が高いのだと言います。日本人が主観的な島国的思考をするのに対して、欧米では論理的な大陸的思考をする傾向が強いからなのでしょうか。文章の段落や節といった「パラグラフ」を重んじる西欧人に対して、曖昧で、いい加減な「ニグレクト」的発想をしがちな日本人が陥りやすい思考法なのかなという疑問も浮かび、その結果が大変興味深く思われたのです。

 ふと、タバコで思い出してしまいましたが、
「禁煙なんて簡単だ。私はもう100回以上禁煙している。」

と言ったのは、アイルランドの文学者・脚本家・劇作家・政治家・ジャーナリストとして幅広い活動をした才人バーナード・ショー(1856年~1950年)です。皮肉っぽいジョークに思わず笑ってしまいますが、何か洗練されていて、発想がオシャレです。イギリス近代演劇の確立者として多大の功績を残した人物だそうで、
「他に類を見ない風刺に満ち、理想性と人間性を描いた作品を送り出した」という理由で1925年にノーベル文学賞を受賞した、お墨付きの皮肉屋です。

 その皮肉屋バーナード・ショーと、ジョークの名手・毒舌家として有名なイギリス首相のウィンストン・チャーチル(1874年~1965年)のウィットに富んだ辛辣な応酬は、切れ味鋭い口先ナイフで闘っているような感じがしますが、そんな言葉のやり取りを愉しむ文化に惚れ惚れします。
バーナード・ショー
「開演の日に2枚のチケットを予約しておきました。もしお持ちなら、ひとりの友人を連れてきてください。」
ウィンストン・チャーチル
「最初の日に行くのは難しいな。2日目に行くよ、もし、もう1日公演があるならね。」

 もう、「ジョークの王様」の称号を贈りたいほどです。チャーチルの名言(毒舌)については割愛することとして、「ジョークの王様」の格言には、こんなのもありました。

 「嘘つきに与えられる罰は、少なくとも彼が人から信じられなくなるということではない。むしろ、彼が誰をも信じられなくなるということである。」

 「間違った知識には注意せよ。それは無知よりも危険である。」

 「年をとったから遊ばなくなるのではない。遊ばなくなるから年をとるのだ。」

 「希望を抱かぬ者は、失望することもない。」

 「人類から愛国心を叩き出さないかぎり、決して平穏な世界に住むことはできないだろう。」(現代の世界紛争の源禍です)

 「酒は人生という手術を耐えさせてくれる麻酔薬だ。」

 「物分りのいい人は自分を世の中に適合させる。わからず屋は自分に世の中を適合させようと頑張る。だから、全ての進歩はわからず屋のおかげである。」

 「名言に感動してはいけない、実践してない証拠だから。」

最後の一言は、自分自身に向けて放たれた言葉でしょうか。それとも、名言を残した偉人たちに対して放った言葉でしょうか。はたまた、こうして書いている私に向けて放たれたアイロニーだったのでしょうか。