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No.1170 おほけなくも

日本民藝の創設者である柳宗悦(1889年~1961年)は、1936年(昭和11年)に国画会で板画家・棟方志功(1903年~1957年)と出会ったそうです。生涯を通じて柳宗悦を師匠と仰いだ志功ですが、1957年(昭和32年)に、宗悦の詞に志功が板を掘った「心偈頌」という作品が生まれます。
 
「今日モアリ、オホケナクモ」
(今日も生きています、おそれ多くも)
という意味でしょうか。
 
一人と書いて「大」の字になります。人は、一人で生き一人で大きくなったと思いがちですが、実際は、多くの人の手をわずらわせ、多くの人々のお陰で生きられているのかも知れません。そう考えると、自然と心の中で手をあわせたくなります。

「おほけなくも」というのは「かたじけなくも」「勿体なくも」「有り難くも」という意味であろうと思います。「無量の恩」をいただいて、生きられています。その恩は、森羅万象に至るのかもしれません。
 
画像は、さいたま市の畏友・ℍ先生が書いてくださったものです。「二病息災」の身の上の私ですが、机の上のこの言葉に、毎日励まされながら七十路を生きています。