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No.719 Strike while the iron is hot.

「老い木は曲がらぬ」、「矯(た)めるなら若木のうち」ということわざがあります。若木なら曲げることもできますが、老木は弾力性がなくて曲りにくく、無理をすれば折れてしまうので、次の意味に解釈されています。
「頑固さも若いうちなら何とか直せるけれども、年を取ってからではもうおそい」
「人に新しいことを教えたり、その人の習慣や性格を変えたりすることは難しい」
私は、その年齢にも意味にも該当しており、いささか胸に痛みを覚えます。
 
面白いことに、英語のことわざにも
You can't teach an old dog new tricks.
(老犬に新しい芸は仕込めない。)
というのがあることを知りました。確かに、年を取ると、体の動きが鈍くなり、物覚えも悪くなるように思います。洋の東西を問わず「何事も、遅きに失してはならない」ことを戒めた言葉なのでしょう。
 
「鉄」もまた然りで「熱いうちに打つのが良い。」と言われます。実は
「19世紀初期のオランダのことわざが由来と言われています。『和蘭字彙』(1855~1858年)には"鉄は熱きうちに鍛ふべし よき時を怠ることなかれと云意"という表現がありました。」
ネットの「言葉の手帳」中の「鉄は熱いうちに打て」に、上記の興味深い話がありました。人類の共有財産のようなことわざです。
 
明治維新の11年前の1857年(安政4年)12月1日に南部藩釜石市で大島高任(たかとう)なる人物により日本初の洋式高炉が造られ火入れが行われたことから、今日は「鉄の記念日」だとか。日本鉄鋼連盟が1958年(昭和33年)に制定したそうです。
 
もちろん、「何をやるのにも遅すぎることはない」という考えもあります。
チキンラーメンを開発した安藤百福は、48歳で日清食品を創業しますが、破産を経験し、無一文から再出発した人です。その人の言葉が、
「人生に遅すぎることはない。50歳でも、60歳からでも新しい出発はある。」
というものでした。人生のやり直しにも遅すぎることはないと言っているようです。来年70歳となる私ですが、小さな勇気をいただいたように思っています。

「人ごとと思ひし古稀や泥鰌鍋」
 永井丈夫

※画像は、クリエイター・宙ENJOY YOGA/村上忠さんの、タイトル「虹のケモノと空飛ぶサーカス」をかたじけなくしました。夢とスリルを味わえるサーカスも若さが生み出すのでしょうか。もちろん、お年を召した道化役のクラウンも魅力的です。お礼申します