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No.911 口ほどにもない?

良寛(1758年~1831年)さんには、「戒語」という「言葉の戒め」について書かれたものが残っています。良寛の愛弟子の貞心尼がまとめたものだそうです。某短期大学の小論文課題に、その一部が取り上げられていたことがあります。

一、手柄話はしない
一、たやすく約束しない
一、よく心得ぬことを人に教えない
一、親切らしくものを言わない
一、推し量りのことをまことらしく言わない
一、田舎者の江戸言葉をいわない
一、おれがこうしたこうしたと言わない
などの良寛の戒めについて考え、自らの意見を述べよというものです。今から200年近くも前の江戸時代後期の曹洞宗のお坊さんですが、これらを読むと、良寛さんは、私の不出来な心を見透かしたかのようです。

また、鎌倉時代末期~南北朝にかけて生きた官人・歌人・随筆家で隠遁者の兼好法師は、『徒然草』第56段「久しく隔たりて会ひたる人の」の中で、饒舌家に釘を刺しています。
「つぎさまの人は、あからさまに立ち出でても、今日ありつる事とて、息もつぎあへず語り興ずるぞかし。」
(教養・品性が一段劣る人は、ちょっと外出しても、今日あった事だといって、息つく間も無いほどしゃべって面白がるものだ。)
と述べています。
 
大学時代の恩師は、実に寡黙な神主さんであり国文学の研究者でありましたが、その先生から「下衆の勘繰り」(心至らぬも者の邪推)と言われたこともある「つぎさま」(二流)の私は、ついつい「沈黙は金」であることを忘れ、後先を考えずにお話に夢中になるヘキ(癖)があります。
 
桃から生まれたのは桃太郎ですが、口から先に生まれたのが、口ほどにもないこの私です。「トホホ」の上に「チーン!」です。


※画像は、クリエイター・まりっかさんの、タイトル「みんなのフォトギャラリーNo.15+ハンドメイド制作雑記(独り言)」をかたじけなくしました。既に咲き出した百日草です。子供の頃、田舎では「浦島」と呼んでいました。花の寿命が長いからその名があることを知りました。