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No.869 チョコ燦讃!

「相棒」「我が家のマドンナ」「老々介護犬」などの異名を持つ「チョコ」は、今日15歳を迎えました。見まがうことなき雑種、それは元気な中型ミックス犬です。

毎食後に判で押したかのように散歩をねだります。そのねだり方も、彼女なりの知恵に溢れています。椅子に腰かけている私の膝に片手を載せ、伸び上がって顔をグッと近づけ、つぶらなお目々で見つめながら「キューン!」と鼻を鳴らします。

これが、「私を散歩に連れてって!」のポーズです。人間で言うなら、女を前面に打ち出して「品を作る」という小悪魔ちゃんですが、堂に入っています。なかなか出来る女です。

女性に弱い私はすぐに撃沈して腰を上げる訳ですが、カミさんの言葉が背中を追いかけて来ます。
「チョロい父さんね!」

ヘッダー画像は、15年前に我が家に来たばかりのチョコですが、子犬の頃から散歩が大好きでした。短くて1km、長い時には小一時間かけて4kmほども歩きました。雨の日以外、私が勤務の日には朝晩、休みの日には朝昼晩と、それこそ「皆勤賞」を頂戴したい程です。

チョコとは、少なくとも1日平均3,000歩はいったでしょう。
1年のうち、300日くらい散歩出来たとして、14年間の累計総歩数は、
3,000歩✕300日✕14年=12,600,000歩
となります。私の1歩は65cmほどですから、
12,600,000歩✕0,65m=8,190,000m=8,190km
散歩したことになります。

ちょっと調べたら、
日本からウクライナまでの距離が、約8,190kmでした。
私とチョコは、いつしか平和行進し続けていたのでしょうか?
 
ところが、今年に入って、チョコの体調が急に思わしくなくなりました。2月には乳腺腫瘍の手術、3月には子宮蓄膿症の手術を余儀なくされました。4月の初めには、まだ団地1周(600m)を歩いていましたが、今は、自宅前の駐車場で日光や風を浴びるくらいしか歩行が叶わなくなりました。腫瘍の転移が肺にまで及び、食欲もなくなり、骨が浮き出るほど痩せこけ、千鳥足でしか進めません。
 
それでも、生きものは前を向きます。今を受け入れ、死を恐れずに歩を進めようとして表に出たがるふうをします。私は、抱っこして外に出て、ふらつく彼女を見守ります。
「いずれは迎える老いの現実を、しっかり見ておきなさい!」
と姐御に無言で諭されているような気分です。何度も抱き、頭をなで、体をさすります。荒くて速い呼吸ですが、温かい体です。
 
15歳、おめでとう!チョコ!!