見出し画像

No.619 爺ちゃんは、うれしかったよ!

数日前に上京した際に、子供や孫たちに連れられて国立科学博物館で開催中の「化石ハンター展」(「特別展」)を観に行きました。親子連れが多く、大変な賑わいでした。

今年は、「化石ハンター」として名高く、いくつもの業績を残したアメリカ自然史博物館の「ロイ・チャップマン・アンドリュース」が、ゴビ砂漠への探検を開始してちょうど100年目にあたるそうで、その後の研究成果も紹介しながらアンドリュースを顕彰する展示会として開催されたように思いました。
 
体長7,4メートル、肩高4,8メートル、首長2~2,5メートル、体重は約11~20トンとされる史上最大の陸生哺乳類のパラケラテリウムは、肩高5,2メートル、体重22トンに達したとされる最大級のナウマンゾウに次ぐ大きさで、骨格標本でさえも大迫力があります。顔はサイのごとく、胴から尻尾にかけてはゾウのようなその形状ですが、こんな生物がのっしのっしと闊歩していたと思ったら、会場がジュラシックパークさながらに思えてきました。こんなものを発掘した時の驚きと感動はいかばかりでしょう。神に見初められ、寵愛を受けたハンターの目の前に姿を現したのかもしれません。
 
様々な展示物だけではなく、進化の歴史を映像でつづったアニメーションもとてもよくできており、親子で会話の弾む仕掛けや展開がたまりません。学びの空間がありました。
「ママぁ、ディーエヌエーってなあに?」
小さい男の子が、いきなりお母さんに聞くと、
「パパに聞きなさいっ!」
と即答して過ぎ去りました。苦笑いしていたパパはは、大変な一日になりそうです。
 
常設展にも足を運びました。あれこれ展示に目をやっている途中で、小学校5年生くらいの男の子が、画用紙を広げて昔の発動機のようなものを模写していました。そのフォルムに心ひかれたのか、製品名が印象的だったのか、とにかく1点集中で、ものすごく丁寧で緻密に描いており、少年の心が画用紙に広がっていました。
 
別の場所では、宇宙に飛び立った古い小型衛星を若い女性が水彩画で模写していました。シャープな線でユニークな形の衛星が、柔らかなタッチの水彩画で描かれており、彼女の中で進行する物語に少しの間付き合わせてほしいなと思ったほどです。挿し絵作家さん?ただ見て楽しむだけではなく、こんな作品鑑賞の仕方があるのだということを教えられた次第です。
 
30分以上待ちで並んだ科博食堂で食べた大盛りカレーライスの味も、1年以上ぶりで繋いだ孫娘の手触りも、行き帰りの電車の中で語らえた息子との話も全部コミコミで、忘れがたい「化石ハンター展」となりました。古希を前に、稀な体験がたくさんありました。毎日サンデーの身ですが、疲れて眠る心地よさを久々に味わった1日でした。