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No.608 「夢中」の先にみつけたものは

1990年(平成2年)3月31日(土)夜のテレビで、山田洋次監督、倍賞千恵子・寺尾聰出演の「同胞(はらから)」(1975年、松竹映画)が放映されました。倍賞千恵子さんが歌う主題歌「ふるさと」は私の大好きな歌で、映画のいろんな場面を思い出し、胸が熱くなるのです。
 
♪  ふるさと ふるさと
 ふるさと ふるさと
 けやきの梢とシジュウカラ
 庭の陽だまり水たまり
 帰ってこない渡り鳥
 ふるさと ふるさと
 
♪  ふるさと ふるさと
 ふるさと ふるさと
 送電線と麦ばたけ
 朝に吹く風たつみ風
 どこまでつづく白い道
 ふるさと ふるさと
 
岩手の小さな農村の青年部主催による統一劇場公演が成るまでの、様々な苦難や農村の現状が浮き彫りにされます。高額なチケット代をめぐって青年会の議会は大いに紛糾します。そんな中、若者達の一途な思いが結実し、漸く公演の運びとなったのに、今度は、中学校長から有料の催しに体育館を会場として貸せないと断られます。青年会会長の高志と統一劇場職員の秀子の決断は?勇気と自信を取り戻させてくれる感動的な作品です。
 
エピローグで、
「幸福とは、もしかしたら、夢中になることではないかな?」
と言った青年部会長の高志の言葉が、強く心に迫ります。
 
今あること、明日もあるだろうことを頼みにして、ついぞ、夢中に生きることを忘れている自分に気づかされます。向き合うべきは、自分自身だったのでしょうか?もう30年も前の事なのに、翌日の朝日が、まぶしく感じたのを今も覚えているのです。