見出し画像

No.1037 ああ、サンマ、秋刀魚!

「今まで生きて来た中で、一番ピンク色だったよ!」
思わず興奮して誰かに言いたくなる程の何とも形容し難いピンク色でした。
 
それは、7年前の9月中旬の日没直後のことでした。愛犬チョコ(当時8歳)と散歩中のことで、西の空にかなり広範囲でかかったピンク色のグラデーションでした。

「へーっ!これって、夕焼け?」
とマスオさんの声状態になったことから、その感動ぶりを想像して頂く以外にありません。それは、私が今まで見た夕焼けとは、まったく違う色をしていました。
 
その現象名は、「ヴィーナスベルト(Belt of Venus)」と言うのだそうです。ギリシア神話の女神・アフロディーテがつけていた帯(ケストゥス、cestus)に由来し、その帯には、恋情をそそる飾りがついていたといいます。ローマ神話でのビーナスに相当するとされており、「アフロディーテベルト」になるところを、より知られたビーナスにしたのだろうということでした。
 
「日の出や日没時に見られる大気現象で、太陽と反対側の空に見られるピンク色の帯の事」
と説明されていました。朝焼けもあるのだと初めて知りました。また、
「正に大気のスクリーンに投影された地球の影を見ていることであり、屈折も関係ない」
と別の説明にありました。文系の私の頭には、ちと難しく思われました。
 
「アッシュピンク(ほど良くくすんだ優しいピンク色)な夕焼け」
の記事もありましたが、私が見たのは、
「いやいや、実に美しいピンク色で show!」
と反論したくなるビッグショーです。愛犬と10分以上佇んで見ました。
 
自然や宇宙から生き物たちへの大きなプレゼントに思えました。描きたくても画けないような色、手の届かない冒し難い色を両目に焼き付けました。私がスマホを手にしたのは、その5年後です。撮っておきたかったなと、大変惜しまれる光景でした。
 
その日の夕餉は、秋刀魚でした。7年前は、我が家の食卓でもお目にかかれたのですが、今年は倍以上の高値にまだ一度も食べられずにいます。ああ、サンマ!秋刀魚の季節なのに!
 
この間に、海事情・魚事情は大きく変わったようです。さらに、処理水が追い打ちをかけています。


※画像は、クリエイター・あきうみさんの、タイトル「ラプラタ川の夕方です」の1葉をかたじけなくしました。みごとなヴィーナスベルトです。あきうみさんは、「マジックアワー」の言葉も掲げておられました。お礼を申し上げます。