見出し画像

No.633 各国の為政者に答えてほしい、素朴な疑問を。

昨日(9月4日付)の大分合同新聞の22面に「スイス氷河半減」の大見出し、「温暖化でペース加速」の中見出しで、恐るべき事実が報告されていました。
「【ジュネーブ共同】アルプスを抱える欧州の山国、スイスにある氷河の体積が2016年までの85年間で半減したとの研究結果を、スイス連邦工科大チューリヒ校とスイス当局が3日までに発表した。2万枚を超える写真の分析から推計した。16年時点と比較すると現在までにはさらに12%減少し、地球温暖化の影響でペースが加速。氷河融解が深刻化している。  
国連の気候変動に関する政府間パネルは19年の報告書で、今世紀末までに世界の氷河は最大で47%減少し、特に欧州などの小規模な氷河は80%以上減少すると予測。生態系に影響を与えるだけでなく、災害リスクを高めると懸念されている。」
 
問題は、地球温暖化による氷河の融解にとどまりません。ヨーロッパ干ばつ観測所は、
「ヨーロッパは少なくとも過去500年で最悪の干ばつに直面している」
と指摘しています。その8月の報告書によると、欧州の47%は土壌の水分不足が明らかな警告状態であり、17%は植生が影響を受ける警戒状態にあるといいます。
 
ロンドンでは、8月24日、商業用などを除き、水道管につないだホースの使用が禁止されました。水不足による節水対策で、期間は未定です。 違反した場合、最大約16万円の罰金が科される可能性があるといいます。由々しき事態が地球レベルで発生しています。
 
スペインでは、普段は完全に水中に沈んでいる古代遺跡「Dolmen of Guadalperal」(スペインのストーンヘンジとして知られる環状列石で、紀元前2000〜3000年に造られた)が現れました。さらに、同国北西部のガリシア州オウレンセにある「アクイス・クエルクエニス」という古代ローマの遺跡も干ばつによって出現しています。
 
中国では、長江とつながる中国最大の淡水湖である鄱陽湖の70%が干上がっているそうで、水不足の場所が目立っているといいます。江西省当局によると、歴史的な干ばつであり、約400万人の生活用水にも影響が出ているとの情報です。
 
さらにアメリカ合衆国では、2012年から続いているカリフォルニア州の干ばつが、おさまりません。それでなくても少ないカリフォルニア州ロサンゼルス市の平年の降水量の41〜63%しかなく、こちらも「500年に1度の大干ばつ」と言われています。農業が盛んな土地だけに、その影響は世界にも波及しそうです。
 
地球温暖化研究の世界的権威とされるポツダム気候影響研究所所長のヨハン・ロックストローム博士は「ホットハウス・アース理論」なるものを唱えています。その理論とは、産業革命前と比較して地球の平均気温が「+1.5℃」を超え、それ以上に上がると温暖化が連鎖的に起き、後戻りできない状況に陥るというおぞましい内容です。  
 
温暖化が進むと、シベリアなどの永久凍土が溶けて、二酸化炭素の25倍もの温室効果を持つメタンガスが大量放出されます。また、アマゾン川流域の熱帯雨林が失われれば、蓄えられていた二酸化炭素が一気に大気中へ放出されます。もし、そんな事態が生じれば、二酸化炭素の排出をいかに減らそうとも温暖化は加速度的に進み、わずか数百年で「+4℃」という危険レベルに到達してしまうといいます。
 
その危険とは、海面が上昇して島が沈んだり、猛暑による干ばつで穀物が育たず、人の住めない土地が世界のあちこちで出現したりする事を意味し。早ければ2030年にも到達すると警鐘が鳴らされているのです。地球に住めなくなる未来の青写真です。
 
ところが、肝心かなめの大国が、国同士で争い、防衛費を増大し、宇宙開発に余念なく、大惨劇の後でさえ臆面もなく原子力発電所を増設しようとしています。それ以外の国々でも人種や宗教や土地問題で尊い命を奪い合い、「国益」ばかりをさも正当な理由に挙げて優先させています。地球の温暖化が進み、大干ばつが目の前で起きているというのに。
 
豊かな幸をもたらす海や、生きる恵みをもたらす大地という足元にある地球の「痛み」にも「傷み」にも、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの「怒りの告発」にも自分のこととして受け止め正面から向き合おうとはしているようには見えません。「国益」は唱えても、「地球益」を唱える政治家はいないのですか?

人類の幸せを一番にと願って日夜滅私奉仕されている世界の為政者のどなたでもよいから、教えてくれませんか?私たちの地球、いや、子々孫々に残すべき命を育む美しい地球を、あなた方はどんな方法で守ろうとしているのですか?あなただけで、出来るのですか?

※画像は、クリエイター、チェコ好き(和田真里奈)さんの「ペリトモレノ氷河」(アルゼンチン)を使わせていただきました。有り難うございます。