Figma最高製品責任者のデザイン哲学】Figma最高製品責任者 ユーキ・ヤマシタ/デザインはチームで作る/優れた製品デザインの方法/問題解決のプロセス【PIVOT GLOBAL】
ユーキ・ヤマシタの紹介
ユーキ・ヤマシタ氏は、東京で幼少期を過ごし、その後シンガポールやフィリピン、米国での経験がございます。大学卒業後、MicrosoftやGoogle、Uberでキャリアを歩み、現在はFigmaの CPOとして活躍しています。彼の経歴は、技術とデザインの交差点での経験に基づいており、それがFigmaにおけるデザイン哲学に反映されています。
今回の記事は、PIVOTでのインタビュー内容を要約したものです。
ヤマシタ氏は、デザインとは「チームで作るもの」であり、デザインの目的は問題解決にあるとおっしゃっています。この記事では、その詳細と、現代のデザインプロセスにおける変化についても触れていきます。
デザインとは何か?
デザインの定義
ヤマシタ氏は、デザインを「問題解決」と定義されています。彼によれば、デザインは「ただの美しいものを作ること」ではなく、「ユーザーの問題を最も適切に解決すること」が本質であると述べています。このため、優れたデザインは機能的であるだけでなく、使用者に感情的な体験も提供するものです。
AI時代におけるデザインの変化
AIの進化により、デザインはよりアクセスしやすくなったかもしれませんが、その本質的な役割である「問題解決」の重要性は増すとヤマシタ氏は考えています。AIがビジュアルの部分を簡単にする一方で、人間的な洞察や共感がより求められるようになるからです。
デザインプロセスの誤解と現実
「完璧なプロセス」の神話
デザインには「完璧なプロセス」があると誤解されることが多いですが、実際のプロセスは複雑で予測不可能なものです。ヤマシタ氏は、クリエイティブなプロセスは必ずしも線形ではなく、時には直感に従って進むことも重要であると述べています。このような非線形なプロセスが、新しいアイデアを生み出すための鍵となります。
デザインプロセスの変化
現代のデザインは、よりダイナミックで柔軟なものになっています。Figmaでは、ユーザーからのフィードバックを受けて翌日にでも製品を変更することが可能です。このようなリアルタイムのフィードバックループが、デザインの質を高め、ユーザーにより良い体験を提供することにつながります。
チームベースのデザインアプローチ
デザインは個人ではなくチームで作る
Figmaでは、デザインが個人の成果ではなく、チーム全体の成果であるという哲学を持っています。例えば、Figmaのファイルを開いても、誰がどの部分を作成したのかは明示されていません。これにより、デザインが「チーム全体のもの」であり、個々の貢献が目立たないようにする文化が醸成されています。
コラボレーションの重要性
ヤマシタ氏は、デザインプロセスの初期段階で他者を巻き込むことの重要性を強調しています。早い段階でアイデアを共有し、フィードバックを得ることで、より良いアイデアが生まれ、効率的なデザインプロセスが実現します。日本のデザイナーには、デザインを「完璧」にすることに固執するのではなく、もっとオープンで協力的なアプローチを取ることが求められています。
プロダクトデザインにおける課題解決
ユーザー中心の問題定義と解決
ヤマシタ氏によれば、優れたデザインの第一歩は、ユーザーの問題を深く理解することです。そして、その問題を解決するために「なぜ」という問いを繰り返し問いかけることが重要です。このプロセスにより、真の問題の根源を探り、より効果的な解決策を見つけることができます。
デザイン思考の拡張
デザイン思考は、単なる視覚的なデザインに留まらず、ビジネスや組織運営にも適用できるとヤマシタ氏は述べています。「なぜ」という問いを通じて、より深いレベルで問題を理解し、革新的な解決策を見つけることが可能になります。
実際のユーザー体験に基づくデザイン
ユーザー視点での体験の重要性
ヤマシタ氏は、製品デザインの成功には、デザイナー自身がユーザーの視点で製品を体験することが不可欠だと考えています。例えば、Uberでの経験では、実際にドライバーとして60回以上の配達を行い、ユーザーが直面する問題や感情を深く理解することで、より効果的なデザインを生み出しました。