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私は何者か、番外編 a dozen 短歌、14



山際が飲み込んだ今日さようなら約束なんてしなくていいんだ

満月のうさぎにも亀にもなれる人という自在の思考と器

理科室の人体模型の動かざる木の葉ふる降るだるまが転ぶ

庭の隅ひとつ白いまま枯れてゆく花の名前を覚えているか

大人でも駄々を捏ねたり拗ねごと言いいまさらながら楽しんで秋

手袋の指の数だけ両方の手のひら納めそれがほんとう

膨らんで月の満ち欠けなぞる旅昼の行方を誰に尋ねる

その滝のことが気になる寒き夜の目にも止まらぬ速さで落ちよ

指先でピスタチオ摘みひとりならどんなに自由どれほど孤独

ライ麦の畑でふっと振り返る誰もわたしを捕まえられぬ

空の下一日中を空の下あとどれくらい生きていられる

山際が光り続けるきらきらと戻らぬことをまた考えている

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