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私は何者か、319


今朝、ラジオからアルビロー二のアダージョ。聴けるとは思っていなかったから、すーい、気分の良い出勤となった。失せ物など出てきやしない三月尽。いつのまにか不要なものに囲まれて仕事をしていたようだ。せっせと机周りを片付けて、別れちゃう人たちとも、笑いながらさよならしよう。なのに、泣いちゃう。ガーベラとカーネーションとかすみ草のブーケを。嬉しい、と言ってくれて、涙ぐんでましたなー。花は素晴らしいもの、香りがまた良い、マスク越しにも香る。さよならのくせに、華やかで、それでいて、胸、苦しい。これを境に別れゆく、散りゆくものなのである。散華などと、美化か。リスペクトか。運命であろうか。思う。袖振り合うも他生の縁と。繋がるようで、繋がらず。離れるようで離れず。この世にありて、距離などどうということもなし。会えよう、いつか。その気になればではあるが。いやいや、ところが逢えぬ者もありて。その冷たい手が知っている。その、端を静かにめくれば、誰かが泣いていたり、抱き合っていたり。優しく髪を撫でられたら、私はそれこそが生きている証。して欲しいことを、してもらう。だから、抱きしめよう。この細い腕に力を込め抱く。抱くのは君のなかのわたしであり、私のなかの君である。


この真夜中、見上げれば半分の月がぴかぴかと高くたかく光る。


ここに在ることの不思議をまだ理解できず、また証明もできぬ。


君の腕は温かい。


我は、ビールを飲み続ける。


寒くもあり、温かくもあり、三月尽。


眠りつくまで、指をつないで。


おやすみを、言ったっけ。


私は何者か。


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