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私は何者か、番外編、a dozen 短歌 11 (田烏)


その沖の石へとつづく夕凪にいのちすべてを預けてしまう

段々に稲を育てし田を持ちて二条院讃岐を誦じ給ふ

この宝この田から出でし古の陽も風も波もとうに仁智超え

わがままと言われてもいいその沖の石ずっと見ている限界ゆふぐれ

トンネルを越えてそこには凪いだ海昨夜の夢の約束だったね

風一瞬髪揺らされて立ち止まる波の行き着く先に沖の石

田烏といふ名の棚田海からの天からの風そこに息て

急ぐとか急がぬとかはさておいて狭い谷間の風の囁き

ピタパンにサバの竜田揚げポケットの底まで温い君と居るから

旅の記を残す我らの足跡をそこいらのひとやさし眼差し

沖の石見せていただき有難き袖濡れたまま癒えぬ哀しみ

ゆふぐれのわたしには君沖の石これで最後と止まり留まる

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