私は何者か、番外編 a dozen 短歌 56
読み返し見つめ直して閉じてみて開いてみてはそれが運命と
触れてみて初めて気づくこともある感じるだけでわかる運命も
ベートーヴェン第五番なる運命の糸を渡して夜の蜘蛛なる
喧嘩して引き返したまま主なき展覧会の絵は涼やかに
叢に隠れているうち私はそもそも人というものだったか
飲みながら歌いながらの支度なら楽しいばかり夕餉の手品
驚いて振り返ったらキリギリスあなたこんなに元気じゃないの
穀蔵よ騒がれておりそんな折静かに食んで死んだふりして
走り去る車ばかりで雑草の右往左往や金曜暮れゆく
ポケットに古い紙切れ捨てられず何度洗濯したことか笑
マッシュルームカットで謳歌その春のいつまで続く青くあざとく
日陰にてものの影にて侍りたるモウセンゴケの四則演算
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