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自社スタジオ、5.1chから9.1.6chへ。その4「31バンドグライコで音響調整」。

皆様お疲れ様です、株式会社okidesignの沖田純之介です。
私の自己紹介は以下にリンクしてあります。

今回は9.1.6chのスピーカー調整のお話をしたいと思います。
前回DME24nをDSP都合で48kHz駆動させた所、かなりエンジンに余裕が出ました。今回は天井以外のスピーカーに「31バンドグラフィックイコライザー」を入れる事にし、使い方を記載して行きたいと思います。

このグラフィックイコライザー、グライコと略されます。グライコでのスピーカー調整は測定器(アナライザー)がないと厳しいです。弊社は以下のモデルを使ってます

弊社の場合は、ProToolsからピンクノイズを出してアナライザーで測定、DME24Nの31バンドグライコで調整していく形です。

機種によっては、マイクをさせば自動でEQをかけてくれるものもありますが、DME24Nは業務用なので、フルマニュアルで作業します。

この調整ですが「基準値」を持ってないと調整できません。
弊社の基準はメインスピーカーのB&W805D2、これも左右で狂った値を微調整済みで、以下の機器で31バンドグライコをかけてます。


9.1.6chの調整

調整の仕方は、調整した805D2でピンクノイズを流し、アナライザーで周波数を見ます。アナライザーは周波数毎に数値を見れますので、805D2の20kHzが35dBと表記されたら、Hs5との誤差をグライコに入力していきます。周波数は31バンドあるので、これを各スピーカーで31回行うわけです。以下の順番で9.1.6chをグライコ調整していきます。

1.Front LeftのYamahaHS5を31バンドグライコ。
2.Front RightのYamahaHS5を31バンドグライコ。
3.Front CenterのYamahaHS5を31バンドグライコ。
4.Front LFEのYamahaHS8sを3バンドパラメトリック。
5.Wide LeftのNS-C210Bを31バンドグライコ。
6.Wide RightのNS-C210Bを31バンドグライコ。
7.Back Side LeftのNS-C210Bを31バンドグライコ。
8.Back Side RightのNS-C210Bを31バンドグライコ。
9.Back LeftのNS-C210Bを31バンドグライコ。
10.Back RightのNS-C210Bを31バンドグライコ。
11.Top Front Left/RightのNS-C210Bを2バンドパラメトリック。
12.Top Mid Left/RightのNS-C210Bを2バンドパラメトリック。
13.Top Back Left/RightのNS-C210Bを2バンドパラメトリック。

805d2に合わせたFrontLeftのHs5

これで測定上では、全チャンネルの周波数特性が一致しました。調整されたグライコ画像を見てみましょう。

Front Left、ベースマネジメントとグライコカーブ
Front L/R/Cの調整後

フロントは805D2に比べ5kHz以上が6dB、20kHzでは14dBも足りてないですね。LとRでもマッチドペア商品ではない為、微調整が必要でした。

LFEのハイカットとカーブ
BackLeftのベースマネジメントとグライコ

NS-C210Bはハイ上がりで、16kHzを14dBも下げてます。

BackLeft、SideLeft、WideLeftのカーブ

ベースマネジメントですが、フロントは80Hz。サラウンドは118Hz。トップは無しにしてあります。
DME内部回路によるサンプルディレイは以下のようになりました。

ディレイ値が表示された回路

調整結果
調整には6時間ほどかかってしまいましたが、調整後ではファントムセンターとダイレクトセンターの違いが聞き取れなくなりました。それだけ馴染んでいるという事です。
またリアからフロントに移動するようなカット跨ぎの効果音も、スムーズに移動するようになり、さらにBackやSideやWideだけでも音楽が普通に聴ける様になりました。これで完璧に調整が済み、仕事上でも全く問題ないシステムに仕上がりました。皆様もグライコ調整にトライしてみてください!

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