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【ゲームエンジン】導入したらサウンドデザインのスピードが上がりました。


自己紹介

皆様お世話になっております、株式会社okidesignの沖田純之介です。
私の自己紹介は以下にリンクしてあります。

予算削減

映画やドラマの予算はコロナ禍で下がりました。自社の単価まで下げる訳にはいかないので、納品までを今までより早く終わらせなければいけません。
弊社で請ける30分ドラマの場合、サウンドデザイン、エディット、ミキシングまでで、合計24時間程度が平均で、大体8時間作業で3日間です。
映画になると5.1chになるので、もっと時間が多くなります。
ディズニーplusのマンダロリアンでは予算を抑える為、撮影にゲームエンジンを導入したとメイキング映像でプロデューサーが語ってます。その結果、セリフにステージの響きが入ってしまっている箇所がありますが、気付くのは同業者のみでしょうね。

サウンドデザインの方法

自分が映画やドラマのサウンドデザインする時、まず30年近く作り溜めた効果音ライブラリーから音を探します。これらの音はシンクラヴィアで作った音や生録して作った音、Logicで作った音など色々ありますが、ライブラリーの音をそのまま使う事は少なく、再加工して音に個性を足し、またその音がライブラリーになっていくという形です。このライブラリーを作るにあたり、音をLogic内のサンプラーに入れて鍵盤とベンド等でニュアンスをつけてProToolsに録音します。この鍵盤を使う手法は、シンクラヴィア時代を踏襲してまして体に染み付いてます。ただしLogicの場合、鍵盤に当てはめるまでが時間がかかる事は確かです。因みにシンクラヴィアが便利だったのは、鍵盤に音を当てはめるまでが一瞬だったからです。(1秒位でできたのです。)

風の音を作っている所。

作業スピードUPを検討

重なりますが、予算削減にあたり音を作っている時間が減りました。過去ライブラリーの使い回しも嫌ですので、どうにかして進化をしないとと考えまして、生成AIとゲームエンジンの導入を検討しました。
生成AIで効果音を作るには、現段階でMeta社のAudioGenが一番進んでいるでしょうか。但し音質が低いのとまだ研究用なので仕事に使うには少し早いかなと。それと弊社に来るような個性を求めてられるものには使えないと感じました。

次にゲームエンジンを検討した所、以下の商品が良さそうでした。

上記動画を見る限り、視覚的に認識できながら、さらにレベルアップした物が作れそうです。
という事で早速購入してみました。

GameSynth導入にあたり

まずこのソフトはWindowsで動きます。高校時代から30年以上Macを使って来た身としてはWindowsはとてもストレスに感じます。音作り用にWinパソコンを買うとなると効果音HDDももう一つ必要になりますし、荷物も大分かさばります。そこで以下のソフトを使い、Mac上でWindows11Proを走らせる事にしました。

これが案外すんなりうまく行きまして、GameSynthもストレスなく動いでくれ、ProToolsも同時に走らせられます。
因みにMacのスペックは、MacBookProM1Pro、メモリ16GB、OsはVentura13.4.1、ProToolsは23.6.0.110です。
Macのメモリが少ないと感じる方が多いと思いますが、自分は量販店で買えるモデルで仕事をする事に重点を置いていて、過去特注マシントラブルで泣かされた経験があるからです。

GameSynthの音はProToolsAudioBridge経由でProToolsへ録音できます。このソフトはそのような使い方をするものでは無いようですが、映画やドラマのサウンドデザインは音を作り直す事はほぼ無いので、このバス送りで録音する方式がベストと考えてます。Logicも同じ方式でProToolsへ録音してます。

GameSynthの使い方

自分の作って来た音はHDDに保管されてますが、再生ソフトとしてMUTANTというソフトを長く使ってます。

このMUTANTで再生した音をドラックし、GameSynthの赤四角部分にドロップすると、一瞬で読み込まれます。時間は1秒無い位でシンクラヴィアと同じスピード感です。読み込んだ音は線を手書きするとその通りに再生されます。Pad上は左側がパンニングだったり、上下がピッチだったりと自由にアサインできます。
ここで気づいた方がいらっしゃると思いますが、このGameSynthはなんと鍵盤を使いません。マウスやトラックボール、ペンタブで音が出せ、ニュアンスがつけられます。荷物から鍵盤を減らす事ができました。

ここで作った音をProToolsへ流し込むのですが、GameSynthは2chステレオにしか対応していないので、映画などのサラウンドを行う際には、バス経由でサラウンドに広げる必要があります。画像では簡易的にサラウンドパンを前後イーブンにしてますが、実際にはProToolsにステレオで録音してサラウンドパンニングが必要になりますね。
サラウンド対応の声は多いとの事ですので、今後のバージョンアップに期待ですね!

GameSynthの内臓ライブラリー

内臓音源もかなり入っているようですが、著作権や音声透かしがあるので、自分は使いません。お使いになる方は以下をご覧ください。

まとめ

サウンドデザインのスピードアップの為に導入したGameSynthと生成AIですが、今の所弊社にはGameSynthが合っているようです。やはり個性が大事ですから、他人と同じ音になってしまう可能性のある生成AIは使えません。
GameSynthはサラウンド対応、Mac対応して頂ければもう完璧で、Logicを使う事もなくなりそうです。
しかし気をつけたいのは、このGameSynthが無くなる事です。Logicを選んだのはAppleが無くならない限り残ると考えたからです、GameSynthには長く残って頂きたいと思ってます。


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