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八月の鯨

「八月の鯨」を観ました。1987年公開の映画です。

アメリカのメイン州にある小さな島の別荘で夏を過ごす、二人の老姉妹のお話です。

丘の上に建つ別荘からは海が一望できるのですが、毎年8月になると、島の入り江に鯨が訪れます。

妹のサラは今年も鯨が見られることを楽しみにしています。けれども白内障を患って目が見えなくなった姉のリビーは、サラにつらく当たります。

これは一日とほんのすこしの間、別荘で姉妹と彼女たちを取り巻く3人が繰り広げる、ささやかな人間ドラマです。

小さなことでケンカをしては、お互いを許しあって。大きくさざめくことなく淡々と繰り広げられる日常ですが、静かに煌めく水面のように美しい映画です。

この映画を観るのは実に10年ぶり。ツタヤでふと見かけたのですが、懐かしさが心を誘い、何気なく手にとって、気がついたら借りていました。

10年前はボロ泣きしたのですが、今回はさほど心を揺さぶられることなく、むしろ終始おだやかな気持ちで眺めていました。

たいした事件が起きるわけでもないんですけどね。一番身近な人に辛く当たってしまったり、小さなことで嫌味を言ってしまったり、親切にされることを当たり前に思ってしまっていたり。

ありがちですよね。観ながら、自分の生活態度を振り返って反省してしまいました。

そしてこの映画に出てくる「鯨」は、彼女たちにとって若き日の夢と憧れと思い出の象徴。それを見ることがささやかな希望になっているんですよね。

いくつになってもときめきを忘れずに生きるのは大切だなあと思いました。

ちなみに主演のリリアン・ギッシュはこの時93歳。すごすぎ。お年をまったく感じさせない、めちゃくちゃチャーミングな演技でした。あんなおばあちゃんになりたいです。

あと、この映画はファッションがめちゃくちゃ好みなんですよね。ワンピーズにカーディガン。姉のリジーなんて、スラッとして姿勢が良くてかっこいいです。

また数年後に観るかもしれない。いい映画でした。

ではでは、このへんで。
みなさま、今日もよき日となりますように…!

心を込めて書いた文章に価値を感じていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。なにか自己研鑽や創作の糧になることに、大切に使わせていただきますね。