沖縄に移住して:Island Storyと夢の先に

大学時代。


夢も人生のテーマもないくせに、「先輩だから」と偉そうな奴らにうんざりした。先輩だから偉いのか。何の説得力もなかった。お気に入りで忠実で言うことをよく聞く同級生は可愛がられた。クソだった。課題と講義をこなして学校と家の往復、4年になると就活して、社会を知った気になって偉そうだ。そのまま社会人になって、社会の歯車になってく。
狭い世界を飛び出したかった。このまま大学を卒業して、社会人になって。そんな人生は嫌だった。会社に文句を言い、定年まで馬車馬のように働く。退屈な人生はごめんだと思った。
学生の特権、長期休暇を使って日本中を貧乏旅行した。西へ南へ突き進んだ。色んな大人達と話し、お世話になった。社会人には自由な人々もいた。夢に向かって無謀に突き進む熱い大人達もいた。高校まで、学校と家の往復で、そのまま大学も終えようとしていた自分がちっぽけに見えた。社会の歯車になるんじゃなくて、何者かになりたかった。

ISLAND STORY

学生生活がうまくいかなかった。単位が取れなかった。講義についていけなかった。課外活動ばっかやってると言い、学業で成果を出せない奴はクズだった。大学で落ちこぼれたとき、周囲の目は冷たかった。そんなときに愛したバイブルがある。

「有名人が自伝を書くんじゃなくて、自伝を書いて有名になったら面白くね?」(そしてベストセラー連発した)
「愛する人と自由な人生を」(愛する妻と一緒に世界一周した)
「南の島で、自給自足の村、作らねえ?」(帰国後、日本を巡って沖縄に住むと決め、自給自足の村=ビーチロックビレッジを作った)

高橋歩、「自由人」を自称する若者のカリスマだった。系列としては、ヒッピー文化の延長戦にあるだろう。嫌なことがあったとき、人生がうまくいかないとき、愛読してこんな人生を歩みたいと思った。
本州の都会に住む人間として、中学時代から沖縄に憧れた。大学時代、遭難しながらもフェリーで初上陸し、ひめゆりの塔まで到達したときの達成感は今でも覚えている。住みたいと思った。だが、沖縄移住への道は途方もない。まず仕事がない(給料もままならない)。
ちっぽけな学生なりに、旅祭といった「高橋歩系」のイベントで出会った、夢を語りながら自由に暮らす若者達と繋がりながら飲み明かし、シャウトして、社会への愚痴を吐き、満たされない現実に悪戦苦闘しながら過ごした。まさに青春ど真ん中である。貧乏で何も叶わなくて散々だったけど。
学友より、フリーター軍団の自由な生き様に憧れた。

そして今:兵どもが夢の跡

あれから幾年月が経ったか。今では歩さんのご子息・ご息女が社会人となる時期だ。下積みを終え、夢叶えて沖縄移住した自分がいた。代償にプライベートは荒んだ。娑婆へ戻れば、ビーチロックビレッジは閉鎖していた。同級生達は皆結婚して所帯を持つか、社会人として活躍しながら人生を謳歌している。フリーター軍団は知らない。ただ、大学時代、言われた通りのレールを歩んでいった連中は安定したエリートコースを進んでいる。奴らが正しかったのか。

舞台は沖縄、職場にも同僚にも恵まれている。学生時代の自分からしたら、偶然にも沖縄との縁を掴めたのは奇跡でしかない。何より夢の先だ。しかし『アイランド・ストーリー』にあったように沖縄は複雑だ。簡単に語り尽くせない。
日常は、まず職場と家の往復。沖縄には旅祭系の人々も生息しているようだ。しかし全くすれ違わない。おかしい。沖縄の人間関係は狭いと聞くが。孤独だ。職場の飲み仲間とシャウトするのも楽しいが、何かが物足りない。

「沖縄は、出会いと別れの島だよ」と、飲み仲間の親友が言った。『アイランドストーリー』に憧れて「高橋歩を囲む飲み会」で意気投合し、文句をシャウトしながら青春を共に過ごした仲だ。早く沖縄移住を実現し、夢を仕事にして、愛する人と家族をなし、人生を謳歌している。

このnoteは、そんな、沖縄で何をなせば良いか、鬱屈とした感情を抱えた、若かりし頃の体力も失せてきた人間が、思いのままに書き尽くすものである。憧れの沖縄生活、しかし孤独だ(コミュ力の欠如に起因することは否定しない)。
似た環境に悩む方や、沖縄移住に憧れる方々に届けば嬉しい。


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