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やっと牽引がとれた!―50代のオジサン運転人生、免許をいろいろとってみた#6

第4章 20年越しの牽引免許(続)

原理を理解してみよう

 トレーラーのおもちゃを購入し、バックしながらどういう挙動をするのかを確かめました。

 牽引免許に関するYoutube動画を何度も何度も見ました。

 原理を理解しようと、ネットでいろいろ調べました。

そういうことか!?

 結局、トラクターの後輪が、トレーラーの前輪の役割を果たしているということがわかり、「ああ、そっか」と納得しました。

 たとえば直線バックで、トレーラーが右に出たところで右にハンドルを切ります。

 右にハンドルを切ってバックすると、トラクターの後ろが右に出るので、トラクターの後輪は左を向いた状態になります。

 そうすると、トラクターの後輪がトレーラーの前輪の役割をするので、左にバックします。それで、トラクターとトレーラーが真っ直ぐの状態に戻ります。

 原理はこれで全部です。

 プロの方はいちいち考えなくてもすぐ動作に移ることができるくらい、これが身についているということです。

 さて、頭で納得できたところで、体が動いてくれるわけではありません。

 「次、どうしたらイイんだっけ?」

などと考えていては、すでに手遅れです。

 方向転換をしながら、なんども頭の中が真っ白になりました。

練習校で補修

 大型2種も持っていて、運転にもそれなりに自信があり、それなのに思い通りに動いてくれない不思議な乗り物。

 別物でした。

 とても同じ自動車とは思えませんでした。

 まったく自信をなくしました。

 しかし、そんなことでめげてもいられません。練習校で練習することにしました。

 練習校は、運転免許試験場で、一発で受ける人が練習する教習所です。

 幸いなことに、車で行ける範囲にありました。

 第1段階の最後に、直線バックを練習するために行きました。丁寧に教えてくれました。

 そうしたら、教官の方がこう言いました。

 「方向転換もやりましょう。どこの教習所に通っているんですか。そこの教官を驚かせてやりましょう」

 結局、第2段階も時間内で終わったのですが、練習校で、方向転換の右バック・左バックを練習しました。

修了検定

 第2段階の見きわめをクリアして、修了検定に申し込みました。

 予約してもすぐには受けられません。

 10日ほど空いて、やっと当日を迎えました。その日は練習なしで本番です。

 名前を呼ばれて、別室で説明を受けました。一度に3人が検定を受けます。

 検定コースは何種類かあるようで、その日の検定コースがどれかが提示されます。

 コースの説明を受けて、順番に検定に臨みます。

いっしょに受けた青年

 いっしょに受けた中の1人は若い方で、自信がないのか、いろいろ話しかけてきます。

 「全然、自信ないっすよ」

 「バックってどうやってます?」

などなど、検定が始まるまで、話しかけ続けられました。

 多少静かにしておいてほしいという気持ちもありましたが、「まあ、いっか」と、待ち時間の間、会話に付き合いました。その若い方が1番でした。

自分の番、玉砕

 自分がその次で、運転席に乗り込み、バックミラーを確認、シートベルトをしてウィンカーを出し、発進しました。

 方向転換は3回まで切り返しが認められますが、結局3回でもできず、そこで検定は中止。

 「あとはせっかくだから、検定コースを走りましょう」

と言われて、コースを走って終わりました。

 もちろん、不合格です。

 検定終了後、一人ひとり順番に呼ばれ、試験官から講評を受けます。なぜ不合格になったのかを説明してくれました。

 「方向転換だけ失敗で、前進はまったく問題ないよ」

と言われました。

 結局その日は3人受けて、話しかけてきた最初の若い方だけ合格、あとのオジサン2人は不合格でした。

 思いっきり凹み、補修教習の申し込みをして帰りました。

2度目の修了検定

 2度目の修了検定の日を迎えました。

 最難関の方向転換は、右バックでした。

 まったく自信がありませんでしたが、「やるっきゃない」と腹を決め、教えられた通りに、左にハンドルを半回転、少しずつバックして右にハンドルを切ったところ、スッとトレーラーが凹みに入ってくれました。

 あとは右に全部切ってバック。

 「ヤッターッ。入ってくれた」

 あとはトラクターとトレーラーが真っ直ぐになるように微調整するだけです。

 嬉しくなってポカをしないように、恐る恐るバック。

 「入りました!」

と教官に報告。入ったら報告しなければならないことになっています。

 最後まで走って検定を終えました。

 一人ひとり別室に呼ばれ、講評を受けました。試験官の方が記入シートを机の上にポンと置いて言いました。

 「満点です。見事なリベンジでした」

 実はその試験官は、1回目と同じ方でした。

 書類を受け取って帰宅、翌日すぐに、運転免許試験場に行き、めでたく牽引ドライバーの仲間入りをしました。

教官を指定・拒否できる

 思い返すと、とても良い経験でした。

 しかし、イヤな思いもしました。小馬鹿にしたような、威圧的な教官もいました。

 それでもシステムが進化したと思ったことがあります。

 まず、教官を教習生が指名できること。これは必ずしも希望通りになりませんが、利用者を大切にしていることはわかります。

 もう一つ、イヤな教官は拒否できること。

 いずれも、受付に伝えておくと、配車のときに配慮してくれます。教習生が指名したことも拒否したことも、教官には知らされないそうです。

 何回目かの教官の方が、教習が終わったときにこう言ってくださいました。

 「○○さんは感性がイイから、自分のテクを全部教えますよ。実は以前、トレーラーに乗ってたんで」

 少し嬉しくなって、帰りしなに受付に申し出ました。

 「○○先生を指名したいのでお願いします」

 指名してくれることを期待していましたが、最後まで一度も当たりませんでした。

 あまり当たらないので、電話をしてみたところ、

 「あの先生は学科も入っていて、なかなかご希望どおりにはなりません」

とのお返事。

 ある程度、上の方のようでした。

 トレーラー経験者のテクを教えてほしかったと、少し残念な思い出です。

 続き ―次回は、バス会社に採用されたときのことを書きます。


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