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●RNG/リングセントラル(米国) コミニケーションツールSaaS、テレワークの拡大が後押し

こんにちは、おけいどんです。


今日は、久々に米国株の銘柄分析です。とはいえ、僕おけいどんのことです。またニッチな銘柄の登場です。主要銘柄は大御所ブロガーの皆さまにお任せすることにしています。


さて、今回ご紹介する銘柄は、コミュニケーションツールSaaSのリングセントラル(ティッカーコード:RNG)です。従来からの需要に加えて、新型コロナによるテレワークの拡大が同社を後押ししている模様です。

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(以下、画像およびチャート等の引用は、全てリングセントラル社のホームページより)


◆リングセントラルとは
社名:RingCentral Inc
本社:アメリカ カルフォルニア州 ベルモント
設立:1999年2月

上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
上場年:2013年
証券コード:RNG
時価総額:242億8000万ドル
※2020年6月19日現在

決算月:12月

概略:リングセントラルは、コミュニケーションツールのSaaSです。

より詳細には、UCaaS=Unified Communication as a Serviceに分類されます。具体的には、音声(電話)、映像、テキストメッセージ、ビデオ会議などのコミュニケーションツールを、一元化したシステムとして、クラウドで提供するプロバイダーです。

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イメージし易いように説明します。

従来のシステムでは、企業内に構内交換機を設置して、卓上電話のみにより通話が可能です。そして、インターネットにはインターネットの機器が必要で、ビデオ会議にはビデオ会議の機器が必要です。それぞれのコミュニケーションツールごとに、それぞれ専用の機器およびネットワークが必要なのです。


その後、1990年代に、アバイア社が、それらコミュニケーションツールを一元化したコミニケーションシステムをオンプレミス型で開発して、利便性が高く、多くの企業が導入しました。
※オンプレミス型とは・・・サーバやネットワーク機器等を自社で購入(もしくはリース)して、自社内に設置して、自社で運用すること。


それに対して、リングセントラルのシステムは、オンプレミス型ではなくクラウドベースで利用が可能で大きな機器の導入は不要です。そして、卓上電話による通話のみならず、映像、テキストメッセージ、ビデオ会議等を、モバイルでもデスクトップでも可能とします。

導入する企業としては設備投資の必要が少ないコストメリット、さらに音声、映像、テキストメッセージ、ビデオ会議などコミュニケーションツールを1社のサービスをまとめることができて、管理が容易にもなります。

導入する企業の従業員としては、強力なビジネスツールになります。1つの電話番号で、モバイルでもデスクトップでも、音声、映像、テキストメッセージ、ビデオ会議など、様々なコミュニケーションが可能です。個人携帯からでも個人の電話番号ではなく、このサービスの電話番号が利用できるのです。私物のスマホの電話番号を仕事相手に知られるのは抵抗がありますが、会社からスマホの支給なくとも、それを解消してくれます。


ビデオ会議など、昨今から導入の動きはありましたが、新型コロナを発端として導入がますます顕著化すると予想されます。そして、コミュニケーションツールの複合化および一元化、クラウドへの移行も時代の流れでしょう。

よって、今後、UCaaSには、高い成長率が期待できると言えるでしょう。

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◆期待されるUcaaSの市場拡大
オンプレミス型のマーケット規模は、4〜5億ユーザー(企業数ではなく、使用者数)とされていますが、それに対してクラウド型は1000万ユーザーとされます。

この4〜5億ユーザーのオンプレミス型もしくは従来型のシステムを使用する企業が、クラウド型へのシフトを始めたばかりで、これからマーケットが広がるでしょう。よって、リングセントラルには長期的な成長が見込まれます。


◆マーケットシェアと高い継続率
クラウド型の1000万ユーザーのうち、リングセントラルは300万ユーザーと30%のシェアを占めます。

過去1.5年間の月次サブスクリプション収入で見た契約継続率は99%と高い数値となっています。売上高に占めるサブスクリプションの割合は、2017年12月期で92.4%、2018年12月期で91.0%、2019年12月期で90.6%と高水準を維持しています。これだけのサブスクリプション収入が継続的にあるのは大きいと思います。


◆オンプレミス型プロバイダー「アバイア」との提携およびライバル社の存在
2019年10月に、オンプレミス型コミュニケーションプロバイダー大手の「アバイア(Avaya Inc.)」と提携しました。これまでは、クラウド型vsオンプレミス型でライバル関係にありましたが、提携して需要を取り込むことに戦略をシフトしました。

これにより、アバイアのオンプレミス型サービスを使う企業が、リングセントラルのクラウド型サービスへシフトすることが狙えます。

アバイアのオンプレミス型サービスの利用数は、実に世界180カ国以上に渡るワールドワイドな、12万社以上の1億ユーザーです。つまりアバイヤのオンプレミス型ユーザーが1億ユーザーもいるのです。この数が、クラウド型へと移行するビジネスチャンスがあるのです。このポテンシャルは大きいと思います。

アバイアは、「Avaya Cloud Office by RingCentral」を、2020年第1四半期より提供開始しています。アバイアは他社との提携は行なわず、リングセントラルのみと契約しています。


UCaaSのライバル社としては、マイクロソフト(Teams)、8×8社およびバンドワイズ社などがあります。リングセントラルはマーケットシェアが30%(クラウド型としてのマーケット内でのシェア)、そしてアバイアとの提携が大きいと思われます。

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◆提携戦略による投資圧縮
データセンターはAmazon(AWS)やエクイニクス(データセンターREIT)を活用しています。映像関連はZoomと提携しています。その他、AT&T、仏IT大手アトスなどとも提携しています。これら提携によって、投資を抑えることが出来ています。


◆リスク
ZoomがZoom phoneを開発しており、リングセントラルの領域に進出してくると、提携関係がどうなるのか懸念を感じます。ここはリスクとして捉える必要があると思います。


◆国別売上高
北米93.0%
その他7.0%
(2019年12月期)


◆株価推移[単位:ドル]
2013年9/27始値 17.25
2013年12月末 18.37
2014年12月末 14.92
2015年12月末 23.58
2016年12月末 20.60
2017年12月末 48.40
2018年12月末 82.44
2019年12月末 168.87
2020年6/22 287.67

株価は、上場日2013年9/27始値17.25ドルから、2020年6/22には287.67ドルと、7年弱で16.7倍になりました。特に、2016年12月末から2019年12月末までは、3年連続で年間 倍々ゲームになっています。2020年も約半年で、1.7倍と、倍々ゲームは続きそうです。


長期チャート

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1年チャート

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他の指標との比較でも、強さが分かります。

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◆業績(売上高、営業利益、純利益、調整後純利益)[単位:百万ドル]
決算期 売上高/営業利益/純利益/調整後純利益
2015.12 296 / -31 / -32 / -9
2016.12 380 / -13 / -16 / 7
2017.12 504 / -5 / -4 / 38
2018.12 674 / -16 / -26 / 66
2019.12 903 / -46 / -54 / 73
2020.12 1120 / -126 / -114 / 80
2021.12 1451 / 89 / 58 / 115
2022.12 1845 / 220 / 178 / 241
※2020年以降は予想

GAAP基準では赤字ですが、株式投資でより重要視されるnon-GAAP調整後純利益はすでに黒字化しています。そして、GAAP基準でも2021年12月期には黒字化が予想されています。


◆キャッシュフロー(営業CF/投資CF/フリーCF) [単位:百万ドル]
決算期 営業CF/投資CF/フリーCF
2016.12 30 / -16 / 13
2017.12 41 / -26 / 14
2018.12 72 / -83 / 15
2019.12 65 / -297 / -68


◆1株利益(調整後)および配当金[単位:ドル]
決算期 1株利益 / 配当金
2015.12 -0.12 / 0
2016.12 0.09 / 0
2017.12 0.47 / 0
2018.12 0.77 / 0
2019.12 0.82 / 0
2020.12 0.94 / 0
2021.12 1.34 / ---
2022.12 2.82 / ---
※2020年以降は予想


◆予想配当利回り
0%(無配)

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◆各種指標
実績ROE:12.8%(2019年12月31日)
予想ROE:11.6%(2020年5月18日)
※non-GAAP

実績PER:---
予想PER:---
実績PBR:32.19倍
自己資本比率:45.34%


◆まとめ
提携関係にあるZoomの動きが気になります。もしも、リングセントラルの領域に入ってくるなら、提携関係に響くことにリスクは感じます。それを理解した上で、面白い銘柄かなと思います。マーケットシェア30%×市場拡大+提携企業からの顧客流入という計算をすれば、成長が見込めるからです。

言うまでもなく、ポートフォリオのコアとなる銘柄ではなく、サテライトとしてポートフォリオの片隅に置き、アメリカ株の成長をポートフォリオの一部で取り込むことを狙います。

もちろんですが、配当金をあてにするような銘柄ではありません。「全世界、高配当・増配株、長期投資、配当金再投資」という投資戦略からは外れますが、アメリカ株に限り一部だけ無配の成長株にも投資しています。

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投資判断は自己責任にてお願いいたします。


今日も何事にも適温でまいりましょう。


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