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「想定外の事件」

24~25歳の頃、大学生や社会人をターゲットとしたセカンドスクールで受付の仕事をしていた。主に、パソコンや英会話を教えるスクール。業務内容は、新規入校者へのオリエンテーション、電話や対面での予約業務、外国人講師へレッスンのスケジュール連絡、事務作業、女部長のパシリなどなど。

ところがある朝、いつもどおりに出社するとフロアが警察でいっぱい。想像してみてください。びっくりしますよね。

どうやらガサ入れ調査っぽい。何があったんだ。何かやったんだな。何をやったんだ。周囲に聞いても情報がないから頭のなかフル回転。ふだん業務で使う学籍簿の他にも資料をたくさん持っていかれたため仕事になりません。

「特商法違反」消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為。違反すると業務改善の指示や業務停止命令、業務禁止命令の行政処分、または罰則の対象になる。

わたしが勤務している東京ではなく、大阪のスクールで営業が悪質な勧誘をしたため通報されたようだ。それから噂はたちまち広がり東京にもシワ寄せが。衰退するときのスピードは凄まじく速い。確か東京は業務停止にはならなかったから噂を知ってか知らないのか、わずかに大学生がレッスンを受けている。俯瞰してみると毎日へんな空気しか流れていなかった。

会社は代表者を代えたり試行錯誤していたが、社員がどんどん辞めていく。かく言うわたしも会社に将来性を見いだせなくなり身の危険を感じたため退職を決めた。不穏な空気のなかで「辞める」「退職」が腫れ物に触るように禁句になっていたけれど主任に退職の意思を伝えた。

「実は、わたし今月で辞めるの……。」

と打ち明けられる。

「あっ、そうなんですね。ですよね~……。」

そこまで驚かなかった。




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