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ガパオライス

この記事のタイトルを「ガパオライス」にしてみた。こう書くとポエムのタイトルのようだ。しかし何かの比喩ではなく、先日の晩御飯のメニューだ。

僕は異国のメニューが食卓にほとんど出ない家庭で育った。全く不満に思った事は無かった。エスニック系調味料の類は元より、ニンニクすら家で一度も見たことがなかった。それが普通だと思っていたので、自分で料理をする時も、その手の調味料やニンニクを使う事はなかった。

それが、結婚してニンニク好きの妻の影響でニンニクが食べられるようになった。最近ではむしろ美味しく感じられるようになった。ニンニクの次は、以前から述べている納豆だ。次は決まっている。エスニック料理に進出するタイミングだ。

エスニックといえば苦い思い出がある。

2年半前、僕が初めて1人で海外旅行をしたときのことだ。超短期のプチ語学留学だったのだが、 英会話学校の初日の説明会中に悪寒がして早退し、そのあとホテルで寝込んで病院に行った。その話は散々ネタにしたのでここで詳細は書かないが、食事に困った。

僕はエスニック料理が苦手である。普段でも苦手なのに病気の時に苦手なものを食べられるわけがない。ホテルで寝込んでいる間はホテルで無難そうだが割高な食事をとり、回復してから街に出ても病み上がりで現地の食事を楽しむ余裕などなく、日本食レストランを探し回って、大戸屋にたどり着いた。

わざわざ1人で海外に来て大戸屋である。その時は日本食が食べられたことに感激して「大戸屋万歳!!」と大戸屋のファンになったが、シンガポールの大戸屋は日本の大戸屋よりも美味しくないし値段が1.5倍ほどした。貴重な現地のご飯の味を楽しめなかった上に、美味しくなく割高な日本食を食べた。こんなとき、エスニック料理を楽しめるようになれたら…そう思った。

2年前にフィリピンプチ語学留学したときもそうだ。せっかくフィリピンに来ているのに無難そうな中華レストランに入って、しかもあまり楽しめずに残してレストランを出てしまった。それからスーパーで果物を買って帰りにスタバでコーヒーを飲んだ。 果物とスタバのコーヒー。なぜフィリピンまで行って日本と同じようなものを食べているのだろうか。

前置きが長くなったが、僕が克服すべきものはエスニック料理。そしてその源であるエスニック調味料だ。そこでこの日は、シンガポールで食べた「シンガポールチキンライス」を家で再現することにした。数日前から準備すべくエスニック料理に欠かせない調味料「ナンプラー」を購入した。 シンガポールチキンライスは炊飯器で炊くらしい。ご飯の消費を調整して直前にちょうど、炊飯器が空になるようにした。そのタイミングで妻が米を洗っていた。思わず僕は、「今日シンガポールチキンライス作るから米炊かないでって言ったやん!!」と声を荒げてしまった。同時に、嫌いなはずのエスニック料理をなぜか楽しみにしている自分にも気づいた。

チキンライスを作るときはもう、ワクワクが止まらない。なぜだ。苦手な料理を自ら作って、なぜワクワクするんだ?シンガポールに発つ飛行機の中で感じたあのドキドキに似ている。ドキドキしていたのは、ワクワクだったのか、緊張だったのか、はたまた、翌日から発症した風邪が原因だったのかはわからない。おそらく原因は、風邪だろう。もしかすると、ワクワクとは、病がもたらしてくれるものなのかもしれない。

脱線しすぎて意味がわからなくなった。話を戻すとガパオライスだ。いや、ガパオライスは唐突だ。シンガポールチキンライスのついでに、ナンプラーを使ったガパオライスも作ったのだ。でも、あくまでも このメインディッシュはシンガポールチキンライスだ。 なぜならシンガポールで食べたシンガポールチキンライスを楽しめなかった記憶を塗り替えたいからだ。 記事のタイトルをガパオライスにしたのは、「シンガポールチキンライス」よりも「ガパオライス」の方がおしゃれな感じがしたからだ。それだけ。とにかく、言いたかったのはこれだ。

今日の晩御飯はシンガポールチキンライス(とガパオライス)

食べた。1口目は美味しかった。はじめて自炊をし始めた人が感じる、「自分で作ったらどんなのでも美味しく感じる」現象のようなものだろうか。後半になるほど、ちょっと微妙になってきた。なんだろう。一応、完食したが、全部食べるのがちょっと辛い。おそらく原因は、ナンプラーだ。ナンプラーに含まれる魚の成分なのか、はたまた砂糖なのか?わからないが、ご飯にナンプラーの味が染み込んでいるのがちょっとやはり苦手だ。妻には「めっちゃ美味しい!」と高評だったので、たぶん完成度としては良かったのだと思う。まだまだ僕はエスニックに慣れていないようだ。でも、納豆と同じく、初回は完食できれば上等だ。しばらく、ナンプラーを使ったメニューが我が家の食卓にたびたび登場することになるだろう。なにより、シンガポールチキンライスは炊飯器、ガパオライスはホットクックで作れて、すごく、簡単だ。

ちなみに今朝は焼いたブリにエスニックソースをかけてみた。コチュジャン、にんにく麹、醤油、酒を混ぜて数秒間レンジでチン。これは、美味しかった。


これから夏が終わり、秋がやってくる。葉が色づくように、ぼくの心も、少しずつエスニックに染まっていけば良いなと思う。しらんけど。


オットクックのインスタやってます。


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