妻が吉方位占いにハマった話

人にはそれぞれ物理的に行くと良い方角が毎日決まっているらしい。『吉方位』は占いではないらしい。占いと書くと怒られるのだが、はじめに聞いた時に「またなんか占いみたいなものにはまっているなぁ~」と思ったので、あえて占いと書いてみた。

妻が「おけいさんが行くと良い吉方位も調べてあげる」と言うので調べてもらい、それに従って行動してみた。とある日、行く必要のある方角が『凶方位』という、行ってはならない方角だった。「どうしたらいい?」と妻に聞くと「凶方位の場合は、そこに行く前に、吉方位に30分以上滞在すれば良い」ということだった。やむを得ず、僕は用がある方角と全く関係のないコンビニでイートインした。「勉強はお控えください」と言った壁紙があったので机の上に何を広げるでもなく、ボーっとした。「自分は何をしているのか」そんな疑問が浮かんだ。

妻が吉方位にはまり始めたのは2人目の子供が生まれた直後だった。産まれてから最初の1ヶ月ほどは、妻と下の子は外出できない。だから休日は僕が上の子、2歳の娘を連れてお出かけをするのが習慣となった。さらに、正月休みも重なり上の子が家にいる時間が長くなった。家の近所の公園やショッピングモールなどに行ってみたがネタが尽きてきた。そこで妻がおすすめする吉方位に従ってみることにした。

ある日は吉方位に従って、大きい公園のサイクリングゾーンに行ってみた。2人乗りの自転車など、変わった自転車がたくさんあった。娘はまだ自転車は漕げないがなかなか楽しかったようで時間が来ても帰ろうとしなかった。そんなこんなで、吉方位に従って色々な所に行った。指定された方角の中で 候補地を探すと、迷いが減るだけでなく、近所でも意外と行ったことがないところがあることに気づいた。これは結構面白い。

別の日、指定された方角には良さそうなところが全く見当たらなかった。やむを得ずホームセンターに行くことにした。僕としては買いたいものがあったのでホームセンターには行きたかったのだが、娘は楽しめないだろうと思っていた。
現地に着くと娘が「ぶーぶー!」と言うので何かと思って見てみると、ショッピングカートだった。それも、ただのショッピングカートではない。車の形をしていて中に乗り込むことができるハンドルまでついている。商品を載せる部分がめちゃくちゃ小さい。ショッピングカートというよりも、車の乗り物の一部がショッピングカートとなっているような感じだ。乗り込んだ娘はテンションアゲアゲ。
そんなショッピングカートで店内を歩いていると、ペットコーナーがあった。犬猫だけでなく鳥や水槽の魚など、娘が興味深そうに眺めていた。動物園で見る動物よりも間近で見ることができて、小さい娘にはこちらの方が良いのではないかとすら思った。

気づけば僕は吉方位にはまっていた。妻が毎日僕の行くべき吉方位を家族共有の Googleカレンダーに登録してくれていたのだが、登録されていない日があった。僕は思わず 妻に言った「Google カレンダーに吉方位を登録してね!」妻は答えた。「え〜、テキトーでいいやん〜」。いつのまにか僕の方がはまっていたのかもしれない。

人は選択肢が多すぎるとストレスを感じる。休日に自由にどこに行ってもいいよと言われると逆に考えるのに疲れる。ある程度こちらの方角から選びなさいと限定される方が楽だ。それに、予想外に良い場所を見つけられる可能性だってある。占い的な非科学的なものに対して否定的な僕が敢えて言いたい。吉方位、おすすめです。

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