見出し画像

頭の中の毛糸玉

最近、よく考えることがある。
「あの中に混ざったら・・・」


私は通勤ラッシュが過ぎた頃に家を出ている。人混みが好きではないと言うか、満員電車が好きな人はいないだろう。私もその一人。
昔、「満員電車って力入れなくても立てるから楽じゃない?」なんて言った先輩がいたけど、それは別の話。
まぁ、実際は朝に起きられないからなんだけど。

そんな私の通勤経路には小さなカフェがある。出来てからそこそこ経つが未だ一度も訪れたことはない。
変わった作りのそのカフェは入り口が1階、客席は中二階となっており、だいたい6〜8人ぐらいの客席がある。といっても入っていないので詳しくはわからないが。

毎朝、可愛らしいケーキが並んでいるのを横目に通り過ぎているが、週に数回「編み物教室」と書かれたA4用紙が挟まれたL字ファイルが入り口の横にポツンと置かれている。
中二階を見上げると、自分より若干年上のお姉さんたちがマスクをしながら毛糸と編み針を駆使して何かを創っている。

何を作っているのかまではわからないが楽しそうではある。
「私も何か作りたいなぁ」と思う気持ちと一緒に
「あの中に混ざったら・・・シュールで面白くね?」と思っている。

別に普段から笑いを求めて生きてるわけではないが、想像してほしい。

………
太陽のおかげで寒さが和らいだ午後の手前。住宅街の細道を歩いていると入り口に小さな木が植えられたカフェが一軒。
ガラス越しに見えるショーケースには小さくて可愛らしいケーキが数種類並んでいる。
入り口横には「編み物教室開催中。どなたでもお気軽にどうぞ」と書いた紙が置いてある。
ふと見上げると頭より少しだけ高い位置に窓があり、店内には編み針に毛糸を巻きつけた女性たちと髪を整えたスーツ男性が一人。
何を話しているのか皆明るく笑っていた。
………


いやおかしい。異物が混じってる。
なんでスーツがいるの?え、てかいや、仕事行け。

と思うだろう。

こんなしょうもない事をいつも考えながら真顔で歩いているスーツ野郎が私です。


私なんかにサポートする意味があるのかは不明ですが、 してくれたらあなたの脳内で土下座します。 焼きじゃない方の。