生きることは

昔好きだった小説の主人公がしみじみ呟いていた。

「人間ってお金かかるんだなぁ」

ごもっともすぎて当時学生だった私の心にも残ったが、社会人になって自力で生活するようになったら、尚更実感するようになった。


人間って、ただ生きているだけでお金がかかる。

ものすごくかかる。


それは「生きていく」ということにまつわる物事が全て、誰かの手によって「ビジネス」「利益」になっているから。

つまり人間は「生活する」だけで「誰かの利益を生んでいる」わけで、高度成長期あたりには良かったと思うのだが、果たして今の時代、そのやり方が未だに正解なのだろうか?とふと思う。


例えば、最低限のインフラが全て無償で提供されるような世界だったら、私たちはもっと芸術などソフトな面を充実させようと目を向けていたかもしれない。

文明も、もしかしたら今とは比べものにならないほどの進化を見せていたかもしれない。


『お金がなくても最低限の生活には困らない』その保証がある事で、人間からどれだけのストレスが無くなるだろう?

どれだけの命や才能がなくならずに済んだだろう?


価値あるものの代わりとして、価値を共通認識するために生まれた「お金」に、私たちは振り回されている。

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