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【読書記録】魔性

タイトル:魔性
著者:明野照葉

生真面目な父を持つ志穂子は、その反動からか仕事に恋に奔放な日々を送っていた。ある日、以前バンドのボーカルをしていて、今は不動産業を営む晃と出会う。この男は危険だと周囲の忠告を受けながらも、晃に惹かれていくことを止められない志穂子。しかし、晃は徐々にその正体を表し始める…。一人の女性が「魔性」を持つ男に絡め取られ、転落していく心理を鮮烈に描き出す、戦慄のサスペンス。

書籍裏面のあらすじから引用

以下感想です。ネタバレに配慮はしていますが、気になる方は引き返してください。
あと今回少々言葉が汚いかもしれません。

「罪な男」の沼にハマる話かな?と思いワクワクしながら読み出しましたが、自身の魅力で女を翻弄する男というよりは、あらゆる手段を使って女を篭絡する男という印象でした。

あらすじに晃は徐々にその正体を表し始める…とありますが、主人公の志穂子と付き合い始めて5日間ほどの段階で「避妊しない」「志穂子の部屋に転がり込む」「クオリティの高い手料理を要求する」「他にも女がいる」「自分が立ち上げる会社に入社し、公私ともにパートナーになろうと言ってくる」「ロングヘアにこだわりのある志穂子に対してショートカットにするよう強いる」というツッコミ所満載の展開。
しかも上記の鍵括弧部分には、すべて文頭に「当然のように」とつきます。

読んでいる側からするとこの時点で地雷臭がすごいのですが、志穂子は晃にメロメロなので結局すべて飲み込みます。別れろそんな男。
志穂子も志穂子でこんなに怪しい男の要求を飲み込んでしまうくらいなので、やや場当たり的というか迂闊なところがあり(奔放で前向きでもあるのですが)作者さんの力量の高さ故か、晃の身勝手さと志穂子の迂闊さにげんなりしながら読む場面も多かったです。

個人的にツボだったのは宅建の話。
「公私ともにパートナーになろう」というくだりで、晃は志穂子に宅建の資格を取るよう指示するのですが、事あるごとに「宅建の勉強してないだろ」「宅建の勉強してるのか」「宅建の試験受けなかったのかよ」というやり取りがあり「宅建宅建うるっせえな!!!(笑)」と笑ってしまうシーンもありました(物語としては別に笑うところではない)

文体含めて全体的にとても読みやすく、サクサクと読み進められました。
クライマックスからラストにかけての展開は賛否ありそうですが、私は嫌いではなかったです。
物語に対して現実主義的というか、リアリティのある展開が好きな方はちょっと気になってしまうかもなと思いました。

いやしかし晃の性格は私にとっては気持ち悪いと感じるレベルだったので、読んだことがあって同じ気持ちの方がいたら「このシーンやばかったですよね!!!??」って話に花を咲かせたい…私もまた性格が悪いな。

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