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暴力に立ち向かう

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 見出し画像は私の推し、マ・ドンソク兄貴の新作映画「スタートアップ!」の前売り。おまけのポストカード欲しさについカッとなって買いました。オカッパ姿が強烈過ぎて、「ノーカントリー」のハビエル・バルデムを彷彿とさせます。

 さて、映画の感想2本まとめて。たまたまですが、両方とも「暴力には声をあげなければならないし、そのためには支えが必要」ということを描いていました。まずは大好きなフランソワ・オゾン監督の「グレース・オブ・ゴッド 告発のとき」から。

 現実と幻の境目が曖昧な作品のイメージが強かった監督ですが、今回は神父による児童への性的虐待事件をベースとした社会派作品。といっても、そこはやはりオゾン。センセーショナルになりがちな題材を、被害者の気持ちに寄り添いながら淡々と丁寧に描いていたのがよかったです。被害者の人生も一様ではなく考え方も戦い方も様々で、そんな彼らが少しずつ繋がり連帯していく様子には胸が熱くなりました。メルヴィル・プポーはもちろん、あまり知らなかったスワン・アルローの演技も素晴らしかった!

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 次はなんとこれが長編デビュー作だという韓国のキム・ボラ監督の「はちどり」です。上映館少ないのだけれど、これはぜひ観てほしい!バイオレンスでも、ラブコメでも、メロドラマでもない韓国映画の新しい波なのでは?

 94年、高度成長期のソウルで暮らす中学2年生の少女ウニが主人公。私も94年に同じく中2で、ベネトンではなかったけれどリュックを背負いカルバン・クラインに憧れていた世代なので、もうどストライク。(まぁ、ウニみたいに可愛くはなかったし、家族から暴力も受けていなかったけれど。)家父長制度が強く父親に対しても丁寧語だったり、学歴社会だったり、韓国の中学生は日本より悩みが多そう。孤独で不条理で居場所がない毎日の中、そっと手を差し伸べてくれる塾の先生ヨンジの存在にとても救われました。(彼女は大学を休学しているという設定だったけど、きっと民主化の学生運動に参加していたんでしょうね。)丁寧に烏龍茶を入れてくれるシーンがさりげないのに、とても印象的。ひどいように見える家族にもそれぞれ抱えているものがあり、その描き方には監督のどこか温かい眼差しが感じられたのもよかったです。(それでも暴力はダメ絶対!)

 今は辛く苦しくても未来はあるし、いつか先生のようにウニ自身がまだ誰かの支えになってあげられる日もやってくるはず。ほんのり希望が感じられるラストも素晴らしい。映像がとても美しいのでぜひ映画館で!

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 おまけはユーロスペースの帰りに寄った渋谷の「VIRON」のクレープ。いつの間にかクレープスタンドが出来ていることをSNSで知り、行ってみました。生地がモチモチで、中身はシンプルなのが好み。レモン好きなのでシトロンにしましたが、次は塩キャラメルにしようかな。あのでっかいヌテラ欲しい!