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「関心領域」

 「関心領域」を観たので感想を。タイトルの「関心領域」とはナチスがアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所を取り囲む40平方キロメートルの地域につけた名称The Zone of Interestのことで、そこに住む収容所所長ヘス一家の一見豊かで幸福そうな暮らしが描かれています。
 収容所の中はほとんど映さず残虐なシーンはないものの、聞こえてくる銃声や犬が吠える声、悲鳴や兵士の怒号。ヘスの妻が「理想郷」だと語る美しく手入れされた庭の向こうには列車や焼却炉の煙が常に見え、すぐ隣で起こっているおぞましい光景が次第に脳内に広がっていき背筋が凍りました。彼女が羽織った毛皮のコート、メイドに配った下着、息子が観察していた歯などは収容所のユダヤ人から奪い取ったもの。子供たちが川で遊んでいた時に流れてきたのは「荷」と呼ばれ焼かれたユダヤ人たちの灰。よく目を見開きじっくり耳を澄まさないと気づかないようなシーンの数々に、重要な事実が散りばめられていました。
 ヘスをはじめ少しずつ心身のバランスを崩していく家族。はじめはよくこんな場所で暮らせるなと思っていましたが、目の前の幸福ばかりに気を取られ、すぐ側で起こっていることに無関心・無知であることもまた罪ではないのか、それはあなた自身も同じでは?と突きつけられているようで胸が苦しかったです。
 博物館となった現在のアウシュヴィッツで館内の清掃をする人々の姿を淡々と捉えたシーンは、負の歴史を保存し後世に伝えていくことで同じ過ちを繰り返してはならない、ホロコーストは過去の出来事ではなく現在起きている紛争や悲劇につながっているのだという強いメッセージが感じられました。日本のニュースは野球ばかりでなくもっと世界情勢を公平に伝えて欲しいし、自分でも知ろうとする努力が必要だと改めて。
 映画は原作小説とはまた違うようなので、もう少し歴史を勉強しなおしてから読んでみたいと思います。重い作品ですが、気力体力がある時にぜひ集中してご覧ください。
 見出し画像は「アンネの日記」を着想源にした今日マチ子先生の「アノネ、」。映画を観たら読み返したくなったので載せておきました。

朝目が覚めて最初に見た光景

 おかゆ嬢は元気にしております。人はもちろん猫のためにも平和な世界にしていかないと。

 おまけは大好きな「エイミーズベイクショップ」のチャイとスパイスのケーキ、ジューシーレモンケーキ。6月いっぱいアトレ吉祥寺に期間限定で出店しているのでまた買いに行こうと思います。レモンケーキは酸味強めの好きなタイプ。レモンケーキの季節でもあるので色々食べてみようと思っています。