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「ベイビー・ブローカー」「哭悲/The Sadness」

 映画の感想2本まとめて。まずは是枝裕和監督「ベイビー・ブローカー」から。赤ちゃんポストをめぐるそれぞれの人物が抱える複雑な事情を、ユーモアも交えつつ丁寧に描いていて監督の温かな視点が感じられました。ガンホ兄さんの演技はもちろんですが、へジン役の少年が光っていてあざとくない子供の演出はさすが。(観覧車のシーンは私も高所恐怖症なので共感しかない)
 刑事に赤ちゃんの母親が「中絶するより、産んでから捨てる方が罪が重いのか?」と問うシーンには、最近のニュースも浮かんできて色々考えさせられました。誰しも心から望んでそのような選択をするわけではないし、罪悪感や葛藤を抱えて生きているはず。父親だって責任を負うべきなのに、なぜか母親ばかりが責められてしまうのも日本と同じ。

 ラストは少し現実的でないと感じる方もいるかもしれませんが、これは監督の「子供は社会全体で守り育てていこうよ」という希望の形の一つなのかなと思いました。母親役のイ・ジウンは可愛いけれどどこかスレた感じを上手く出していたし、梨泰院クラスや愛の不時着でお馴染みの面々を探すのも楽しいので韓国ドラマファンの皆さんもぜひご覧ください。

 次は同じアジアの映画ですが、ガラッと雰囲気が変わって台湾スプラッタホラー「哭悲/The Sadness」です。前の座席の人の頭が邪魔でむしろ助かったなと思うシーンはあるものの延々と続くわけでもなく、グロさに関しては意外と大丈夫でした。しかし、ゾンビだと笑えるシーンもただ人間がウイルスによって凶暴になるだけだと結構精神的にきついものが。「人間の心を残したまま残虐行為に及んでしまう」という設定を生かすのか、振り切ったスプラッタにするのかどっちつかずだったのもやや残念。
 台湾の映画というとホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンなどのイメージだったので、こういうホラーもあるんだなという意味では新鮮で良かったです。冒頭のフライドポテトババアはなかなかのインパクトだったので、個人的にもっと活躍してほしかったです。三度の飯よりグロが好きな方にはお勧め。

 見出し画像はあお山ヒュッテから届いたレモンのキーホルダー。レモンケーキが好きなので、レモンモチーフもこれから集めていきたいです。
 今日はとんでもない事件が起こりましたが、暴力ではなく投票で意思表示をすることが大事だと思うので週末は選挙に行くことも忘れずに。こんな時だからこそ、冷静に情報に惑わされず自分で考えて候補者を選びたいです。