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「愛がなんだ」

 たまたま20代女性が主人公の邦画を配信で3本観たのでその感想を。まずは今泉力哉監督「愛がなんだ」から。公開当時わりと話題になっていたのに見逃してしまい、Netflixで最近配信されて早速観ました。

 28歳のテルコとマモちゃんの恋愛ストーリーと思いきや・・・テルコの暴走っぷりに実はマモちゃんの存在すら妄想なのでは?と怖くなってきました。原作小説のマモちゃんは成田凌とは程遠い「痩せていて背も低くて別にかっこよくもない」という設定らしいのですが、じゃあミスキャストなのか?というわけではなくたぶんテルコの目にはどんな人でも「好き!」と思ったらそんな風に見えてしまうのだと思います。付き合うとか結婚とか何か目的があるのではなく、「マモちゃんを好きであること」が大事で一種の宗教めいた報いなど求めないものなのでしょう。別に人でなくても「好き」という気持ちは生きる原動力となるから、それでもいいのかもしれません。(共感しやすいのは中原の方だと思うけど)

 そういえば冒頭でテルコが風邪をひいたマモちゃんに味噌煮込みうどんを作るシーンがあったのですが、製作がメーテレ(名古屋のテレビ局)だから?とちょっと気になりました。そういう時って鍋焼きうどんとかおかゆのイメージなんですけど、それもテルコらしさの表現だったのでしょうか。原作読んでみようかな。

 同じく今泉力哉監督の「パンとバスと2度目のハツコイ」もアマプラにあったので観てみました。(「パンとスープとネコ日和」ではないので注意!)「愛がなんだ」にも出ていた深川麻衣が主役で、彼女のふわっとした中にも芯がある雰囲気がふみという役柄にぴったり。(その初恋の相手役がなぜか三代目の人なのには少々違和感を覚えましたが)「愛がなんだ」の前日譚というか、そもそも愛の前に好きってなんだ?自分は何が好きなのか?ということを絵を描くことをやめてパン屋で働くふみが取り戻していく過程が丁寧に描かれていました。気にはなりつつもあまりチェックできていなかった今泉作品。これを機会にちょうど今下北沢が舞台の「街の上で」が上映されているので、できれば観たいなと思っています。

 最後は岩井俊二監督「リップヴァンウィンクルの花嫁」です。岩井俊二自体はそんなに好きじゃないんですが、主演の黒木華目当てで観ました。(3時間あるから劇場で見損ねたのです・・・トイレが心配で!)監督が彼女をイメージして主人公をあて書きしたというだけあって、完全なる黒木華映画!花嫁、メイドなどくるくる衣装も変わるし、Coccoと黒木華というお姫様が腰を振ってるシーンを撮りたかっただけなのでは?と思ってしまうくらい。騙されたことにも気づかずふわふわと彷徨いながら、どこかたくましくもあるヒロインの生き方は一見ファンタジーのようでとても現代的でした。詐欺師役の綾野剛が最後まで敵か味方か分からないのもよかったです。

 結局緊急事態宣言は延長され映画館はなぜか緩和の対象外のようですが、配信でいろいろ観つつ現在も営業を続けているミニシアターの応援もできたらいいなと思います。ちなみに見出し画像は池袋「タカセ」のカバが可愛いケーキです。