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「ビバリウム」「サウンド・オブ・メタル」

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 はやく「ミナリ」と「ノマドランド」を観なければと思っていますが、その前に映画の感想2本まとめて。

 まずは「ビバリウム」から。大島依提亜さんデザインのポスターからも感じられるように、不穏な空気が終始漂う「トワイライトゾーン」や「世にも奇妙な物語」的な作品で好みでした。

 新居を探していたカップルが、たまたま案内された住宅地からなぜか抜け出せなくなってしまい次々と奇妙な出来事が起こるのですが・・・よく保険や住宅のCMで観られるような画一的な「マイホームと幸せな家族像」になんとなく違和感を覚える私には、全く同じまさに「絵に描いたような家」がずらっと並んでいる光景は奇妙で恐ろしく感じられました。冒頭のカッコウのシーンに象徴されるようにオチは想像がつくのだけれど、作り込まれた映像と大好きなジェシー・アイゼンバーグが不条理な世界にぴったりとハマっていて楽しめました。イモージェン・プーツ演じるジェマの最後のセリフは、「子育ては母親がやるもの」という古い価値観へのアンチテーゼのようで印象的。

 次はアカデミー賞で作品賞などにノミネートされている「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」です。ちなみにNetflixで観たのですが、音がとても重要な作品なのでできれば映画館で観たかった!

 メタルバンドのドラマーである主人公ルーベンが聴力を失っていく過程を、とてもリアルに描いていてまさに疑似体験しているよう。次第に人の声や音楽がくぐもって聞こえるようになったり、恋人に紹介された聴覚障害者のための施設では手話がわからず、「聞こえる人」にも「聞こえない人」にもなりきれないがゆえの孤独感に胸が痛かったです。ルーベンのように手術で治るならそのほうがいいと考えてしまいがちですが、静寂のラストシーンでそれは「聞こえる」立場の人間の勝手な思い込みなのかもしれないとハッとさせられました。一見無駄なように見えた、施設の静かな部屋で自分と向き合った日々にもちゃんと意味があったのですね。製作総指揮と原案が「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランスで、絶望の日々からかすかな希望を感じさせるラストまでの描き方が素晴らしい。

 見出し画像は、毎年なんとなく同じ場所から撮ってしまう井の頭公園の桜とスワンボートです。緊急事態宣言が解除されたせいか結構人が多かったので、さっと写真だけ撮る短時間のウォークスルー花見でした。