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「透明人間」「WAVES/ウェイブス」

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 映画の感想2本まとめて。まずは「透明人間」から。何本も作られている透明人間ものですが、これは新たな視点で面白かった!ホラーというよりはむしろサスペンス。エリザベス・モス演じるセシリアがまとった不穏な空気が、そもそも本当に透明人間なんているのか?彼女の妄想では?と観ている側にまで思わせる演出が素晴らしい。

 ただCG技術がすごい!ではなく、見えない恐怖、見えてからの恐怖、正体が分かってからの恐怖と変化していき最後までハラハラしっぱなし。メールを勝手にパソコンから送るような「見えないこと」とは関係ない嫌がらせの数々に、実は透明人間のような存在って私達の身近にもいるのかも・・・とゾッとしました。(SNSでの誹謗中傷とか顔が見えないがゆえの悪意ってあるよね)誰も味方がいない中、一人で戦い前を向いて歩いていくセシリアの姿は別人のようでとても美しかったです。(ほんとエリザベス・モスは不穏な役をやらせたら最高。)

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 次はA24作品ということで楽しみにしていた「WAVES/ウェイブス」です。赤と青に彩られた美しい映像と音楽の波に心地よく身を委ねていたら、「裕福な家庭、美しい恋人、レスリング部ではエリート」という絵に描いたようなリア充タイラーが、怪我をきっかけに真っ逆さまに堕ちてdesireな前半に打ちのめされることに・・・。

 しかし、ここからがこの映画の肝なので映画館を出ないで!後半は、それまでエリート兄の影で目立たなかった妹エミリーの視点に。ルークという少年と出会うことで、少しずつ閉ざしていた心を開き家族を再生させていく姿に胸が熱くなりました。「愛」はタイラーのように人を傷つけもするし、エミリーのように救いもする。厳格に見えた父親も自分のような苦労はさせたくないと必死だったがゆえなんでしょうね。

 見出し画像の映画秘宝にトレイ・エドワード・シュルツ監督のインタビューが載ってたんですが、監督の継父も厳格かつアルコールやドラッグ依存でこの映画をきっかけに和解したという・・・まさに映画のようなお話。監督の前作「クリシャ」の公開は延期になってしまったようですが、こちらも楽しみです。

 (余談ですがこの映画は私の大好きな二大生物、猫とマナティが出てくるので、それだけで神映画。猫が出てくる映画は数多あれど、マナティは少ないよね?マナティ好きは観るべし!)