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「ノマドランド」「ミナリ」

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 映画の感想2本まとめて。まずは楽しみにしていた「ノマドランド」から。主人公ファーンが旅の途中で出くわす実際のノマドの人々や大自然はとても魅力的だし、困ったときは助け合い「さよなら」ではなく「またどこかで会おう」と別れていく姿は美しく清々しい。でもいざ病気になったりした時に保障があるわけでもなく、仕事も常に得られるとは限らずあったとしても肉体労働だったり体力的にも厳しいものが。ノマド生活を一方的に賛美するのではなく、その裏にある過酷さもきちんと描かれていたのがよかったです。

 フランシス・マクドーマンドはファーンを「演じる」というよりは、ファーンとしてノマドの人たちに溶け込んでいてドキュメンタリーかと錯覚するくらい。ノマド生活を最期まで続ける人、もとの生活に戻っていく人、様々な選択があってどれが正しいなんてないはず。最近日本でもよく耳にする「自己責任論」ですが、どんな選択をしようが最低限の生活をしていける支援制度はあっていいのでは?はじめと終わりに出てくるAmazonの配送センターでのシーンをみて、ふつふつとベゾス(Amazon共同創設者)への怒りがこみ上げてきました。アマプラとか観ておいてそんな資格はないのですが・・・もっと従業員を大切にすべきでは?便利な生活の背後にはファーンのような人々がいるのだと思うと心苦しかったです。

 そんな素晴らしい映画の監督クロエ・ジャオの次回作はなんとアメコミ「エターナルズ」。彼女が撮るとどんな風になるのかますます楽しみになりました。(私の推しマ・ドンソクも出るし!)


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 次は「ミナリ」です。A24 製作ということでやや期待値が上がりすぎてしまった感が。弟のデヴィッドとおばあちゃんのキャラクターはとても愛らしく演技も素晴らしかったのですが、異国の地で根をはる「ミナリ(韓国のセリ)」のようにたくましく生きる家族の姿をよりシンプルに描いた方がよかったのでは?キリスト教的意味合いを持たせたいのであろうといういくつかのシーンが、少々余計に感じてしまいました。「信じるものは救われる」のはわかるんですけどね。日本も韓国もおばあちゃんと孫の関係性ってあまり変わらないな〜というのは観ていて楽しかったです。

 アカデミー賞はやはり「ノマドランド」が席巻するんだろうなというのが今の印象ですが、また直前になったら勝手に予想をしたいと思います。見出し画像は「ミナリ」鑑賞後に食べた無印良品のカフェの苺パフェです。