「マティアス&マキシム」「鵞鳥湖の夜」
映画の感想2本まとめて。まずはグザヴィエ・ドラン監督「マティアス&マキシム」から。
ドランが「君の名前で僕を呼んで」に感銘を受けてつくっただけあって、シンプルかつストレートに感情の動きが描かれ原点回帰といった趣。ドラン作品お約束の感情の起伏の激しいお母さんは出てきますが、あまり凝った演出もなくそれがかえって新鮮でした。実際のドランの友人たちが出演しているからか、ごくごく自然な雰囲気。カナダの若者の中でも世代によって使う言葉が違ったり、微妙なカルチャーギャップがあるのも興味深かったです。
個人的には大好きなペットショップボーイズの「Always On My Mind」が流れたシーンとラストのマキシムの表情にぐっときました。ちょっと最近のドラン作品は・・・という人にこそおすすめしたいです。上のヒグチユウコさんデザインのポスターも素敵。
次はディアオ・イーナン監督「鵞鳥湖の夜」です。冒頭から前作「薄氷の殺人」のイメージを覆すような激しいアクションシーンと、凝ったバイオレンス描写にびっくり。まさかのビニール傘の活用法には痺れました。
中国の再開発から取り残された地域という設定の鵞鳥湖のロケーションが素晴らしいな〜と思ったら、武漢で撮られたとのこと。振り続ける雨と暗闇、その中で妖しく光るネオンとスニーカーのソール、ディスコダンスのギリギリのセンスがむしろスタイリッシュに見えてくる不思議。洗練しきれていないウォン・カーウァイのようで、海辺のシーンは北野武風でもあり監督の新たな一面が感じられました。(ご飯が青い光に照らされてことごとく不味そうなのと、唐突に動物が出てくるのは相変わらずでしたが)
敵か味方か分からないグイ・ルンメイの雰囲気もよかったし、長い暗闇を抜けたあとだからこそ輝いて見える朝の光の中を、女性二人が振り返ることなく歩いていくシーンがとても印象に残りました。
見出し画像はロイヤルホストの渋川栗とほうじ茶のブリュレパフェです。去年より甘さが抑えられて美味しくなっていました。