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古着屋さんの音楽が好き

ひとは服屋へ行くと服を見るのに集中する。
わたしも服を見る。けれど、同時に店内に流れる音楽にどうも意識をとられてしまう。

古着屋さんに流れる音楽は格別だ。
どこか懐かしくて遠い国を思わせるような、あるいは朝のまどろみや黄昏時を思わせるような音楽。ぼーっと音楽を聴きながら店を見回す。
この店はずっと昔からここにいて、わたしの目の前の服も、ずっと昔からここだけに存在しているのよ、とばかりに堂々として見える。

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「古着屋さんの曲みたい。」

never young beachというアーティストを昔の恋人がおすすめしてくれたとき、そう呟いた。
わたしの呟きを聞いて、彼はハズレだった(わたしの好みではない)と思ったらしい。

しかし、これは褒め言葉のつもりだったのだ。古着屋さんの音楽みたいに、永遠に聴いていられる。

今日も素敵な音楽をかけて堂々と生きたい。
まるで、古着屋さんの服のように。

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