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【ゲームシナリオ】:ラノベ作家によるソシャゲシナリオ用語集1

 ラノベとソシャゲシナリオ。その違いをゲーム会社のシナリオ部門に入社したことのあるラノベ作家が綴ってみます。

初回の用語は、そのものずばり【ゲームシナリオ】についてです。
下にあるように3段階でお話ししてみたいと思います。

※初めての方はこちらからお読みくださるといいかも。

①【一般的な意味】ソーシャルゲームにおけるシナリオの全体像をつかみたい方。
②【一歩踏み込むと】ソーシャルゲームの運営にかかわっており、シナリオ方面の知識を増やしたい方。
③【ソーシャルゲームシナリオを創作するラノベ作家向け】ソーシャルゲームのシナリオ執筆に関わっているライター、ディレクターの方。特にソーシャルゲームシナリオに興味をもっているラノベ作家に向けたもの。

今回の用語【ゲームシナリオ】

①【一般的な意味】

  ジャンルを問わず、ゲームに実装されたシナリオのこと。
  ゲームによって、ゲーム内部にいくつか種類別に実装されたりもする。

②【一歩踏み込むと】

 ここでは主に、ソーシャルゲーム、アプリゲームに実装されるシナリオのことを指す。
 RPGやADVでは、ゲームシナリオの楽しさがゲームの売りになる場合もある。
 サウンドノベルに至っては、ゲームシナリオの面白さが売りのメインとなっている(が、ソーシャルゲームでサウンドノベルはたぶんまだ出ていない)。
 シナリオがまったく使われていないゲームももちろん多数ある。

③【ソーシャルゲームシナリオを創作するラノベ作家向け】

 ソーシャルゲームシナリオは小説と違って、必ず『ソーシャルゲームのゲーム性』と二人三脚であるという意識が大切となってくる。

 ゲームシナリオ、特にソーシャルゲームのシナリオは小説のように、『文章を書いた順に一文字ずつ読んでもらえるというルール』ではないのだと意識することが大切。

 ラノベ作法の文法を脳内で一度真空パックし、無意識からも追い出しておかないと、『ソーシャルゲームシナリオにおける新ルール』の理解に支障をきたし、早晩足元ををすくわれることになる。

 具体的に説明してみる。

 たとえば、ソーシャルゲームにおいてユーザーがシナリオを読む順は、書いた者の意図通りにはならない場合がほとんどと言っていい。

 ソーシャルゲームシナリオはユーザー自身がプレイによって順不同で手に入れ、順不同に読むものなので、プレイスタイルの違いによってシナリオの開放順はランダムとなる。
(さらには「入手」と「解放」、さらには「実際に読む」タイミングにも、それぞれタイムラグがある)

 言い換えると、ラノベと違ってソーシャルゲームでは、文章が読まれる順番は、執筆者が意図できない。

 そしてそれは、ゲームがシナリオに対して、明確な役割を期待しているということでもある。

 そのため、そんな役割を意識せず、目の前のシナリオさえ面白く書けてればいいんでしょ? と思ってクオリティだけにリソースを払うと、ゲーム全体のバランスと役割意識を大切にしているシナリオディレクターに手痛いFB(フィードバック)をもらうこととなり、執筆者は「なんで!? 面白いじゃん!!」と精神を病む。

 ソーシャルゲームのシナリオ執筆では、常に自分はどのような役割を持ったシナリオを執筆しているのかという意識を、自分がライトノベル執筆で培い持っているスキルと比較し、適切に対応させていくことが肝心。
 その意識があれば、少しずつラノベで磨いてきたスキルを活かすことができてくる。

 ……そして、この企画では、そんな「ラノベとソーシャルゲームシナリオに必要なスキルの比較」「その切り分け方」と「ラノベで培った執筆力をソーシャルゲームシナリオに適応する方法」の一流派を示していきたいと考えています。

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今回の用語【ゲームシナリオ】のまとめ

・ソシャゲのゲームシナリオは、ゲームシステムと二人三脚。
・そのためゲームの中でのシナリオが受け持つ役割を細かく把握しておく必要がある。
・さらに、把握した役割りを実際のライティングに落とし込む必要もある。
・ラノベ作家にとしては、それは今までになかった制約となるため最初はめっちゃ窮屈。
・でもその制約を乗りこなし、ゲームシステムとシナリオでパワフルに二人三脚を実現させる=シナジーにすら変えて執筆できるとプロっぽい。

 以上です。
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